鍵層(読み)カギソウ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鍵層」の意味・わかりやすい解説

鍵層
かぎそう

岩質や含まれる化石により、他の地層から容易に区別できる特徴をもった地層。これを追跡することにより、ある地域地質構造層序を容易に明らかにできる。鍵層としては、地層が薄く、ある地域に広く分布し、同時またはほぼ同時に堆積(たいせき)したものほど有効である。鍵層として利用される地層は地域によって異なるが、一般に凝灰岩層、砂岩層、石灰岩層、石炭層などが多い。とくに1回の火山噴火に対応した凝灰岩層は同時間面を示すため、離れた地域の地層の対比に有効である。鍵層はあくまでも相対的なもので、泥岩層の卓越する地域では砂岩層が、また砂岩層の卓越する地域では泥岩層が用いられたりする。

[村田明広]

『地学団体研究会編『新地学教育講座6 地層と化石』(1977・東海大学出版会)』『木村敏雄ほか著『日本の地質』(1993・東京大学出版会)』『町田洋・新井房夫・森脇広著『地層の知識――第四紀をさぐる』(2000・東京美術)』

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改訂新版 世界大百科事典 「鍵層」の意味・わかりやすい解説

鍵層 (かぎそう)
key bed

岩相とか構造または化石群集などに顕著な特徴があるために,広域にわたり同一層準として追跡できる単層をいう。〈けんそう〉とも読む。地層の横の広がりを調べる野外での地質調査によく利用される。特徴のない均質な岩相が厚く分布する場合に鍵層は重宝されるが,このような地層対比に使われるものとして,特異な化石層,火山灰層,海緑石層などが有名である。また鍵層は等層厚線図を作る時の構造的基準面としても重要である。前述のような定義は,本来マーカーベッドmarker bedという言葉で使われてきたが,後に同義語として鍵層のほうが日本では普及した。ただし,反射法地震探査による音響層序学においては,広域に追跡できる顕著な反射面をマーカーベッドと呼んでいる。例えば大西洋にはA層(Horizon A)という反射面があり,かつては白亜紀と第三紀の境界を示す1枚のマーカーベッドとみられていたが,今では3層準に分けられている。
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最新 地学事典 「鍵層」の解説

けんそう
鍵層

key bed

任意の地域内で,比較的短期間に堆積し,相対的に大きな広がりをもち,他の地層と比べて特徴のある岩相を示す地層。キーベッドとも。一般には「かぎそう」という。地層の区分・対比(同時性の決定)の一つの基準となり,また,鍵層を利用することによってその地域の層序・構造の解明は容易となる。ふつうテフラ(凝灰岩)層・石灰岩層・石(亜)炭層・化石層などが鍵層として用いられるが,どのような地層が鍵層として有効かは,問題とする地域の広さや地質によって異なり,あくまで相対的なものである。鍵層が1枚の単層からなるものを鍵単層,凝灰岩などの火砕質岩からなる場合をテフラ(火砕質)鍵層と呼ぶことがある。テフラ鍵(単)層の場合は,厳密に同時面を示す。

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かぎそう
鍵層

鍵けん層

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百科事典マイペディア 「鍵層」の意味・わかりやすい解説

鍵層【かぎそう】

離れた地域に地層が露出しているとき,両地の地層を比較・同定する手掛りとなる地層。〈けんそう〉とも読む。砂岩・泥岩の層にはさまれた火山灰層などはよく鍵層になる。
→関連項目AT火山灰鹿沼土凝灰岩古土壌対比(地学)テフロクロノロジー

鍵層【けんそう】

鍵層(かぎそう)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鍵層」の意味・わかりやすい解説

鍵層
かぎそう
key bed

キーベッドともいう。地質の野外調査,層序,構造の組立て,対比などにあたって,作業を容易にするような基準,あるいは目印となる地層。まわりの地層と違う岩相上の特徴によって,たやすく特定の地層とわかるもの。上下の地層よりも岩相の水平的変化が少く,あまり厚くなく,分布が広く遠距離まで追跡できる,などの性質のあるものほど有効。普通,薄い火山灰層,石炭層,石灰岩層,含化石層などが使われる。

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世界大百科事典(旧版)内の鍵層の言及

【鍵層】より

…地層の横の広がりを調べる野外での地質調査によく利用される。特徴のない均質な岩相が厚く分布する場合に鍵層は重宝されるが,このような地層対比に使われるものとして,特異な化石層,火山灰層,海緑石層などが有名である。また鍵層は等層厚線図を作る時の構造的基準面としても重要である。…

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