日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿児」の意味・わかりやすい解説
阿児
あご
三重県中東部、志摩郡(しまぐん)にあった旧町名(阿児町(ちょう))。現在は志摩市の東部を占める一地区。1955年(昭和30)鵜方(うがた)町を中心に神明(しんめい)、立神(たてかみ)、志島(しじま)、甲賀、国府(こう)、安乗(あのり)の1町6村が合併して成立。2004年(平成16)浜島(はまじま)町、大王(だいおう)町、志摩町、磯部(いそべ)町と合併、市制施行して志摩市となる。旧町域は、志摩半島南東部に位置し、近畿日本鉄道志摩線と国道167号、260号、志摩パールロードが通じる。名称は、古代からの郡名英虞(あご)に平易な字をあてたもの。隆起海食台の一角で標高20~30メートルの緩い起伏が続く。太平洋岸の安乗崎や国府白浜の男性的な海岸と対照的に、英虞湾は波静かなリアス海岸の入り江で真珠の養殖筏(いかだ)が浮かび、中心に志摩観光の拠点賢島(かしこじま)がある。全域が伊勢志摩国立公園域。最高地の横山(203メートル)には三つの展望台があり、美しい景色を一望できる。国府に志摩国分寺跡がある。安乗の人形芝居は国の重要無形民俗文化財。
[伊藤達雄]
『『阿児町史』(1977・阿児町)』