阿波(市)(読み)あわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿波(市)」の意味・わかりやすい解説

阿波(市)
あわ

徳島県北部にある市。2005年(平成17)、板野(いたの)郡吉野町(よしのちょう)、土成町(どなりちょう)、阿波市場町(いちばちょう)、阿波町が合併、市制施行して成立。吉野川北岸に位置し、北部の香川県との境には讃岐(さぬき)山脈が連なる。その山々を水源として日開谷(ひがいだに)川、九頭宇谷(くずうだに)川、宮川内谷(みやごうちだに)川などの支流が南下し、南に広がる扇状地を形成して、吉野川に注ぐ。吉野川流域に沿った平野には、市街地や耕地が広がる。阿波北部の交通の要衝として古くから開け、現在では国道318号が南北に走り、多くの県道が東西に通じる。さらに徳島自動車道がほぼ中央を横断、土成インターチェンジが設置されている。かつてはアイ作や養蚕が盛んであったが、現在は稲作のほか、施設園芸や畜産、ニシキゴイの養殖も行われている。

 旧阿波町には伊沢城跡や北岡古墳があり、また林地区は、『和名抄(わみょうしょう)』にみえる拝師(はやし)の地とされる。西部には国指定天然記念物の奇勝「阿波の土柱」がある。旧市場町の中心である市場は、撫養(むや)街道に沿い、江戸時代に市が立てられて発達した。市場町地区の切幡(きりはた)には四国霊場第10番札所の切幡寺が、また八幡(やわた)には八幡(はちまん)神社がある。旧土成町地域には、四国霊場第7番札所の十楽(じゅうらく)寺、第8番札所の熊谷(くまだに)寺、第9番の法輪寺があり、また御所神社は土御門(つちみかど)上皇の行在所(あんざいしょ)跡といわれる。旧吉野町の中心の西条は、室町時代に守護細川氏の臣岡本氏の居城があった地で、のちに阿波九城の一つとなり、城下町として栄えた。対岸の吉野川市とは、阿波中央橋や西条大橋で結ばれている。

 国指定重要文化財に切幡寺大塔、県指定文化財に熊谷寺大師堂や仁王門などがある。野神(のがみ)の大センダンは国指定天然記念物。そのほか、土柱休養村センター阿波土柱の湯、土成歴史館などがあり、宮川内ダム一帯は奥宮川内谷県立自然公園に含まれている。面積191.11平方キロメートル、人口3万4713(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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