陰樹(読み)インジュ(英語表記)shade tree

翻訳|shade tree

デジタル大辞泉 「陰樹」の意味・読み・例文・類語

いん‐じゅ【陰樹】

幼樹のころ日陰でも生育できる樹木ブナシイカシなど。→陽樹

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精選版 日本国語大辞典 「陰樹」の意味・読み・例文・類語

いん‐じゅ【陰樹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 雌雄異株植物で、雌花だけを持っているほうの木。めぎ。⇔陽樹。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  3. 日陰に耐え、少ない光のもとでも生育することができる樹木。ヤツデ、アオキ、エゾマツなどの類。⇔陽樹
  4. ( 「蔭樹」とも書く ) 葉や枝をひろげて、かげを作っている木。
    1. [初出の実例]「蔭樹の下に置て我が農作を営み」(出典:三国伝記(1407‐46頃か)四)

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改訂新版 世界大百科事典 「陰樹」の意味・わかりやすい解説

陰樹 (いんじゅ)
shade tree

耐陰性が強くて陰地に生育できる木本植物。ふつう,若いときには強い光の下で生長することができないが,ある程度の樹高に達してからは,むしろ強い光を受けると生長がさかんになる。モミ,ヒノキ,オオシラビソなどの裸子植物や,ブナ,シイ,タブノキなどの被子植物などが代表的な例である。これらの樹種が森林に入りこむと,やがて他の樹種を圧倒して陰樹の林をつくり,その状態で安定する。したがって極相をつくるのは陰樹の林であり,原生林では陰樹が優先している。陰樹は陽樹に比べて最少受光量は小さく,ガス交換の補償点は低い。つまり,弱い光で光合成を行いうるのである。木本性の陰生植物の場合,幼時と生長後で光に対する対応のしかたが異なるのに対し,草本性の陰生植物は生涯を通じて直射光の下で生育できないので,陰樹とは区別される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陰樹」の意味・わかりやすい解説

陰樹
いんじゅ

日なたにも生活するが、かなりの日陰にも耐えられる樹木のことで、陽樹に対する学術語。一般に森林が発達する際には、まず陽樹林が形成されるが、やがて陰樹が侵入生育し、ついには陰樹による極相林が形成される。シラビソ、シイ、カシ、アオキ、ブナなどが代表的な種である。

[奥田重俊]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陰樹」の意味・わかりやすい解説

陰樹
いんじゅ
tolerant tree; shade tree

直射日光を避け,日陰を好んで生育する樹木。ヒノキ,ツゲ,ブナなど。植物群落遷移では,まず陽樹が生育し,その後,陰樹に代わり,陰樹林が極相(最終段階)となる。ゼニゴケなどとともに陰地植物 shade living plantともいう。

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