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隅田川物 すみだがわもの

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

隅田川物
すみだがわもの

日本演劇,舞踊,音楽の曲の一系統。いわゆる梅若伝説を主題とする曲の総称。能『隅田川』を源流とする。 (1) 説経節『すみ田川』寛文1 (1661) 年以前成立。 (2) 古浄瑠璃『すみ田川』 宇治加賀掾の語り。 (3) 古今節『隅田川』 元禄の道化方俳優古今新左衛門の歌った芝居歌。 (4) 義太夫節『雙生 (ふたご) 隅田川』 近松門左衛門作。竹本義太夫の語り。享保5 (1720) 年竹本座初演。明暦2 (1656) 年刊の仮名草子『角田川物語』の脚色。 (5) 河東節・一中節掛合『隅田川舟の内』 享保7 (1722) 年頃初演。1世十寸見河東と2世都太夫一中の共同作曲。 (6) 一中節『賤機帯 (しずはたおび) 』。 (7) 長唄『賤機帯』。 (8) 常磐津節・長唄掛合『角田川』 本名題『梅花王戯場番組 (うめさくらかぶきのばんぐみ) 』。河竹黙阿弥作詞,5世岸沢式佐と3世杵屋正次郎の共同作曲。明治4 (1871) 年東京市村座初演。 (9) 清元節『隅田川』 元来は素浄瑠璃。謡曲を短縮した歌詞。条野採菊作詞。 1883年2世清元梅吉作曲。歌舞伎では2世市川猿之助が初演 (1919) 。その際舟唄が加えられた。 (10) 琵琶歌『隅田川』  1912年,1世橘旭翁作曲。

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世界大百科事典 第2版の解説

すみだがわもの【隅田川物】

歌舞伎,人形浄瑠璃の一系統。能《隅田川》を原点とする梅若伝説を扱った作品群をいう。観世元雅の作になる能《隅田川》がどういう素材に拠って作られたかは不明である。当時,人買いに子をさらわれ悲嘆にくれた母親の話は多くあったと思われる。そうした巷説を元に,《伊勢物語》の業平東下りの物語をからませたのは,おそらく元雅の創作であろう。いわゆる梅若伝説も,この能以後に発生,流布したものである。《松平大和守日記》によれば,1661年(寛文1)以前に説経の正本《すみ田川》が存在したこと,88年(元禄1)に《今角田川》四番続きが上演されたことがわかる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

隅田川物
すみだがわもの

歌舞伎(かぶき)・浄瑠璃(じょうるり)の一系統。能『隅田川』の梅若伝説を主題とする作品群をいう。元禄(げんろく)(1688~1704)ごろから多くの作が上演されたが、仮名草子『角田川(すみだがわ)物語』を脚色した近松門左衛門の人形浄瑠璃『雙生(ふたご)隅田川』が1720年(享保5)8月大坂竹本座で初演されて以後、これに登場する吉田少将(よしだのしょうしょう)と愛妾班女(あいしょうはんじょ)、双生児(ふたご)の兄弟梅若・松若、人買猿島惣太(さるしまそうだ)実は旧臣淡路七郎などをめぐる御家(おいえ)騒動の話が、この系列の基礎となった。梅若の命日が3月15日とされるところから、歌舞伎では弥生(やよい)狂言としてつくられることが多く、代表的な作品に、法界坊を活躍させた奈河七五三助(ながわしめすけ)作『隅田川続俤(ごにちのおもかげ)』、清玄桜姫と結合させた4世鶴屋南北作『隅田川花御所染(はなのごしょぞめ)』『桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)』、惣太を主役にした河竹黙阿弥(もくあみ)作『都鳥廓白浪(みやこどりながれのしらなみ)』などがある。
 能の筋(すじ)をなぞって子を失った母の狂乱を描く音曲・舞踊劇も多くつくられ、河東(かとう)節・一中(いっちゅう)節掛合いの『隅田川舟の内』をはじめ、一中節の『尾上雲賤機帯(おのえのくもしずはたおび)』、長唄(ながうた)の『八重霞(やえがすみ)賤機帯』、常磐津(ときわず)・長唄掛合いの『角田川』、清元(きよもと)の『隅田川』などが有名である。[松井俊諭]

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