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曾我物 そがもの

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

曾我物
そがもの

曾我十郎・五郎兄弟の仇討ちに関する物語を脚色した作品をいう。古くは能楽,幸若舞曲に始り,人形浄瑠璃歌舞伎作品にもきわめて多い。ことに歌舞伎では,五郎が御霊と通ずることから御霊信仰の要素も作用し,享保期 (1716~36) 以後,江戸の各劇場で正月に必ず曾我物を上演するならわしが生じたため,曾我物は各種おびただしい数に上る。兄弟の仇討ちにいたる苦心の物語が,当時の人々の同情を集めたのが人気の主因であるが,十郎を中心とした恋愛の場面,五郎を主人公とする勇壮豪快な局面 (荒事) も,その一因であった。現行の代表的な作品には『矢の根』『助六由縁江戸桜 (すけろくゆかりのえどざくら) 』『草摺引』などがある。

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百科事典マイペディアの解説

曾我物【そがもの】

人形浄瑠璃や歌舞伎脚本の中で,曾我兄弟の敵討(かたきうち)に関する物語を脚色したもの。江戸歌舞伎では享保ごろから毎年正月興行にこれを出すのが恒例となったため,一大系列となり,〈曾我の対面〉をはじめ多くの作が今日に残っている。
→関連項目実事

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世界大百科事典 第2版の解説

そがもの【曾我物】

わが芸能史上最も数の多い演目をもつ史実潤色の作品群。源頼朝幕下の重臣工藤祐経(すけつね)に,父河津祐泰を討たれた遺子の十郎祐成(すけなり)・五郎時致(ときむね)の兄弟が,18年目に富士の裾野の巻狩で工藤を討った事件は《曾我物語》になり,幸若舞,能,古浄瑠璃をはじめおびただしい数の演目で,特に江戸の大衆に喜ばれた。近松門左衛門も人形浄瑠璃のために書いたが,歌舞伎では,江戸の荒事が五郎という人物を典型化したので,代々の市川団十郎がこの役を演じた。

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世界大百科事典内の曾我物の言及

【仇討物】より

…中世の謡曲,幸若から古浄瑠璃を経て,近世の歌舞伎,人形浄瑠璃や読本,実録,講釈,浪花節など,さまざまの分野で扱われ,重要な一系統を形づくっている。それらの基幹となったと思われるものは《曾我物語》を素材とした作品群で,早く謡曲に数々の〈曾我物〉を生み,この流れが幸若,浄瑠璃,歌舞伎に継承されて発展を見せた。歌舞伎における〈曾我物〉は格別の人気狂言で,享保以後江戸の劇場では毎年の初春狂言の世界を〈曾我物語〉とするのが吉例になった。…

※「曾我物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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