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雪氷学 せっぴょうがく glaciology

翻訳|glaciology

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

雪氷学
せっぴょうがく
glaciology

氷河学の名もあるが,日本雪氷学会ではこの訳語を採用している。現存氷河に関する諸問題を扱う自然科学であり,自然地理学地球物理学地球化学,気象学,地質学などの広い分野に関係する。氷河氷やその集合体としての氷河それ自身の物理性,化学性,発生や消長の機構などが中心になるほか,氷の器としての地形も扱われ,また海氷も研究の対象となる。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

雪氷学
せっぴょうがく
glaciology

雪と氷が関係するいろいろな現象を取扱う学問体系。雪と氷の研究分野では古くから、雪と氷を合わせて雪氷(せっぴょう)とよんできた。雪氷学で雪と氷は厳密に区別されているが、雪と氷を区別する必要のないことも多い。雪氷学の研究対象は多岐にわたっており、自然界にみられる雪氷現象に限っても、氷や雪の結晶成長などのミクロな現象から、降雪、氷河、海氷、凍土などのマクロな現象まで多様である。地上に積もった雪は、吹雪(ふぶき)、雪崩(なだれ)、融雪などの雪氷独特の現象を示し、北国の社会生活における雪氷は、屋根雪、道路雪氷、融雪と水資源、農業や林業での雪対策などの問題を提起する。また、地球の温暖化や寒冷化に関連して、地球の気候変動における雪氷の役割が重要視され研究が進められている。
 雪氷学は広い学問分野と応用分野に関連しているが、その基本的側面は、(1)地球科学、(2)災害科学、(3)物質科学という3分野に集約することができる。
 (1)の地球科学的側面では、地球上で生じるすべての雪氷現象が研究対象であるが、最終的な目的は、雪氷と自然環境との関係の理解にある。とくに近年は、地球全体の気候変動や水資源の問題に雪氷がどのような役割を果たしているか、そして、それを利用しての地球の自然環境の将来予測、あるいはそれに対する人類の対処の問題が重要となっている。
 (2)の災害科学的側面では、単に降雪、雪崩、吹雪などの雪氷現象のメカニズムの解明や防御法の開発だけでなく、雪氷を社会生活に有効利用するための、雪氷工学的研究が進められている。これまで雪氷は人間生活や社会活動に害を与えるものとして、とくに雪害をひき起こすやっかいなものとして嫌われることが多かったが、近年では逆に雪氷の特長を最大限に生かす工夫や技術が開発されつつあり、そのための基礎雪氷工学的な研究が要求されている。
 (3)の物質科学的側面は、雪氷学の主役であり、雪と氷の構造と物性の解明である。氷は、化学組成が単純であるが、構造も性質も非常に特異であり、まだまだ解明されていない部分も多い。日常目に触れる氷は氷hとよばれる六方晶系の結晶であるが、現在のところ14種類の異なる氷が確認されており、将来もっと別の氷も発見される可能性がある。また、雪は氷と空気からなる複雑な混合物であるため、その性質はさらに複雑であり、複合材料としての研究が要求される。
 国際雪氷学会(International Glaciological Society、本部はイギリスのケンブリッジ)によれば、雪氷学は、「すべての形の氷の研究」と定義されている。すなわち、雪氷学(glaciology)の語源は、ラテン語のglacies(氷)であり、雪と氷を合わせたすべての氷を研究対象とする。日本の一部の英和辞典で、glaciologyが氷河学と翻訳されているのは誤りである。1970年代以降は、地球上の氷だけでなく、火星の氷、木星や土星の氷衛星や氷リング、あるいは彗星(すいせい)などの宇宙の氷も雪氷学の研究対象となっている。また、水(H2O)だけでなく、太陽系の木星以遠(外惑星領域)に多く存在する、メタン、二酸化炭素、窒素などの固体も「氷」とよんで研究が進められており、雪氷学は地球雪氷学から宇宙雪氷学に進展しつつある。[前野紀一]
『前野紀一著『氷の科学』(1988・北海道大学図書刊行会) ▽前野紀一・黒田登志雄著『雪氷の構造と物性』(1994・古今書院)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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