翻訳|methane
アルカンのなかで炭素数のもっとも少ないもので、沼気(しょうき)marsh gasともいう。その名のとおり、沼の底の泥土中で枯れた植物等の有機物が発酵して生じる。また天然ガスの主成分でもある。石油留分や石炭の熱分解生成ガス中にも含まれる。無色、無臭の可燃性気体。
メタンの分子は、四つの水素原子を頂点として炭素原子がその中心に位置する正四面体構造をとっていて、きわめて対称性がよく、炭素‐水素結合距離は0.109ナノメートル、すべてのHCH角は109°28′の四面体角である( )。
燃料として用いられるが、空気中に15~50容量%含まれている混合ガスは爆発する。家庭用天然ガスの主成分である。燃料以外の用途としては、酸化によってホルムアルデヒドHCHOや、メタノール(メチルアルコール)CH3OHに変えたり、塩素と反応させて塩化メチレンCH2Cl2、クロロホルムCHCl3、四塩化炭素CCl4を得る反応などが工業的に利用されている。
[佐藤武雄・廣田 穰 2016年11月18日]
炭化水素の最も簡単なもの。化学式CH4で表され,図に示すような四面体構造をもつ。沼池などにおいて有機物の腐敗により生じる沼気marsh gasとして古くから知られている。天然ガスの主成分として産するほか,石炭や石油の熱分解などの際に発生するガス中に含まれる。メタンガスというときは,一般にメタンを主成分とする天然ガスをさすことが多い。無色,無味,無臭の可燃性の気体で,融点-182.76℃,沸点-161.49℃。水にはほとんど溶けず,エチルアルコール,エーテルにわずか溶ける。用途としては,メチルアルコール合成に重要な合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス),水素,カーボンブラック,塩素化メタンなどの製造原料や燃料がある。
執筆者:中井 武
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CH4(16.04).可燃性天然ガス,および有機物の腐敗,発酵により生成する沼気の主成分.石炭,石油系炭化水素などの熱分解により発生するガス中に含まれる.実験室的には,ヨウ化メチルマグネシウム(グリニャール試薬)と水を反応させるか,または酢酸ナトリウムをソーダ灰とともに金属製フラスコ中で乾留する合成法がある.工業的には,天然ガス,石油系炭化水素分解ガス,コークス炉ガスなどから分離製造される.四面体構造をもつ.C-H0.1091 nm.無味,無臭,無色の引火性の気体.融点-182.48 ℃,沸点-161.49 ℃.水に難溶,エタノール,エーテル,炭化水素油に微溶.爆発範囲5.0~15.0体積%.わが国では,おもに水素および合成ガスの原料,および都市ガスや火力発電所の燃料として用いられる.[CAS 74-82-8]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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