電信為替には2種類ある。(1)一つは、郵政民営化前の郵便局で取り扱われていた電信為替である。この電信為替は、電信を使用して、現金が必要になったATM(現金自動預金支払機)のない場所、出張先、祝い金、香典などの受取人に当日中に送金する場合に利用された。2007年(平成19)10月1日の民営化を機に廃止され、民営化後のゆうちょ銀行には引き継がれなかった。なお、民営化前に発行した電信為替証書は、有効期間内はゆうちょ銀行・郵便局の貯金窓口で現金との引換えが可能である。電信為替証書の有効期間は発行の日から6か月であり、有効期間経過後3年間で、為替金に関する差出人および受取人の権利は消滅する。現在、ゆうちょ銀行は、口座をもっていない先への急ぎの送金には、「電信現金払(窓口払)」の利用を勧めている。これは、差出人(送金者)の振替口座・総合口座の預かり金をゆうちょ銀行・郵便局の窓口で相手(受取人)に渡すものである。
(2)もう一つは外国為替における電信為替である。これは、送金の指図に電信(電報やテレックス)を利用する為替(Telegraphic Transfer)のことで電信送金ともいう。外国に送金する場合、郵便送金(Mail Transfer)、電信送金(電信為替Telegraphic Transfer)、送金小切手による三つの方法がある。郵便送金では、送金に通常1週間程度かかるので、急を要する場合には電信送金(電信為替)が利用される。これは、送金依頼を受けた外国為替銀行が、支払銀行宛(あ)てに、受取人に支払う旨を記載した「支払指図」を電信で送る方法である。
[太田和男]
TTともいう。為替決済を手形や送金小切手を用いず電信テレックスによって行うもの。銀行は依頼主の依頼を受けて,自行の本支店もしくは取引先銀行に対し,依頼金額の支払(送金電信為替),または取立て(取立電信為替)を指図する。なお,この支払,取立てのしくみについては〈為替〉の項を参照されたい。
執筆者:黒田 満
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… 国営の為替制度は1817年フランスにおいて初めて実施され,日本では前島密(まえじまひそか)等の努力により74年9月郵便為替規則が制定され,75年1月から実施された。国内隔地間送金には,普通為替,電信為替,定額小為替の3種類がある。普通為替は,75年に開始されたもので,郵便局が差出人から持ち込まれた現金に対し為替証書を発行,差出人がこれを受取人に送付し,受取人がその為替証書と引換えに郵便局窓口で為替金を受け取る仕組み。…
※「電信為替」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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