風穴(読み)フウケツ

デジタル大辞泉 「風穴」の意味・読み・例文・類語

ふう‐けつ【風穴】

山腹・渓間などにあって、夏季に冷たい風を吹き出す洞穴溶岩トンネルの大きなもので、洞内の温度差による対流によって風を生じる。
[類語]ほら洞穴ほらあな洞穴どうけつ洞窟岩窟石窟岩屋山窟鍾乳洞洞門岩陰空洞

かざ‐あな【風穴】

風が吹き通る穴やすきま。障子の破れ穴など。
通風換気のために壁や窓にあけた穴。かざぬき。
山腹などにある大きな奥深い穴。夏、冷風が吹き出る。ふうけつ。

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精選版 日本国語大辞典 「風穴」の意味・読み・例文・類語

かざ‐あな【風穴】

〘名〙
空気を通すために、壁などにつけた穴。風抜きの穴。通風口。
※俳諧・毛吹草(1638)六「寒き夜の風穴(カザアナ)ふさぐ置火哉〈忠也〉」
② 山腹などに発見される熔岩トンネルなどの奥深い穴。夏は涼風が吹き出る。地学では、「ふうけつ」という。
随筆・諸国里人談(1743)五「岩窟あり。深さ量なし。常に烈風あり。よって風穴と号す」
③ 風の吹き通すすきまや、やぶれ穴。
※俳諧・口真似草(1656)第八「風(カザ)穴ふさぎ寒さふせがん 尺八とりてこたつの火吹竹梅盛〉」

ふう‐けつ【風穴】

〘名〙
① 昔、中国で、北方にあって寒風を発生すると想像された土地
※本朝文粋(1060頃)九・於鴻臚館餞北客詩序〈大江朝綱〉「梯山航海。凌風穴之煙嵐
溶岩トンネルの大きなもの。夏は涼しく、氷の保存などに利用されることがある。かざあな。風洞。〔日本風景論(1894)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「風穴」の意味・わかりやすい解説

風穴
ふうけつ

山腹にあいている深くて長い横穴で、溶岩チューブ、溶岩洞ともいう。普通は火山の溶岩トンネルをさすが、鍾乳洞(しょうにゅうどう)をさしていう場合もある。火山の溶岩が流出するときに表面は早く冷えて固まるが、溶岩の内部はまだ高温で溶融状態にあるために流動を続け、その抜けた部分が空洞となって残る。富士山麓(さんろく)には溶岩トンネルによって生じた風穴が各所にあり、現在では観光名所となっている。風穴の中は夏でも外気に比べて気温が低く、氷ができていることがあり、冷たい空気が吹き出す。

[髙山茂美]

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改訂新版 世界大百科事典 「風穴」の意味・わかりやすい解説

風穴 (ふうけつ)

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世界大百科事典(旧版)内の風穴の言及

【溶岩トンネル】より

…溶岩トンネルの内部は平滑で,水平な段がついている場合がある。富士山の青木ヶ原溶岩などにみられる風穴,氷穴,人穴などと呼ばれる洞穴の多くは溶岩トンネルである。【荒牧 重雄】。…

※「風穴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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