出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
戦国時代の東国の有力領主層が,領域支配実現のために,一家,一門を中心に周辺の非血縁者をも結集させた一種の擬制的な同族的地縁共同体。この言葉は15世紀末~17世紀初期に特徴的に登場し,近世幕藩体制の成立とともに消滅する。その登場地域は東国に集中しており,しかも使用主体は小山,結城,宇都宮,佐竹,伊達,岩城,白河結城,蘆名,最上氏などの旧族領主層が中心で,後北条氏のような新興勢力の場合にはまったく見られない。つまり洞は,惣領制的同族集団を基盤として発展した東国旧族領主の在り方を内包した言葉であった。洞とほぼ同義で使用される言葉に,屋敷,家の中を意味する〈屋裡(おくり)〉〈屋裏(おくり)〉があるが,これは洞が家や屋敷と深い関係にあることを示している。洞の語義は,《日葡辞書》が〈ある家中の家族や一族の者,および家来〉とし,《新編常陸国誌》が〈一家一門ノコトヲ云ヘリ〉と説明しているように,〈一家一門〉を中心に非血縁の家臣などをも〈同じ家に属する人々〉という強い同族観念に基づいて編成した地縁集団の意味に解されていた。洞という言葉は,《結城家法度》や《塵芥集》のような分国法にも見られるが,大半は東国の旧族領主たちが相互に取りかわした書状の中に登場する。それらは政治的関係が強く反映しているため,大名級領主がみずからの洞を〈当洞〉,相手の洞を〈御当洞〉などと呼称する形で登場し,国人,地侍が洞という言葉を使用することはまれであった。しかし洞本来の語義からすれば,こうした国人や地侍層の在地に密着した洞の方をより重視しなければならない。つまり大名級領主の洞は,戦国期の一円的領域支配形成への動きのなかで,国人や地侍層の在地的な洞を包摂,統合した組織にすぎず,本来のより在地的な洞は擬制化,抽象化して領国的内容を帯びたそれに変容させられているのである。
執筆者:市村 高男
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出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
…【鎌田 元一】
[朝鮮]
最下級の地方行政区画。〈洞〉とも称し,漢城(ソウル)では〈契〉と称した。本来は自然村落であり,自治団体的性格が強い。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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