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高橋氏文 たかはしうじぶみ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

高橋氏文
たかはしうじぶみ

古代の家記。『本朝月令』『政事要略』などに引用された逸文2編だけ現存。これによると高橋氏の祖,イワカムツカリノミコトの功績をたたえ,自家の聖職の本縁を語ったもののようである。本書は内膳司に仕える同職の安曇 (あずみ) 氏との間で,神饌供進に奉仕するとき席次をめぐる争いが起ったので,その争いを解決するため由緒を示す資料として,延暦 11 (792) 年朝廷に提出したものである。同8年にも家記を提出しているので,成立はそれ以前とみられる。『古事記』『日本書紀』などにもない伝承や,景行天皇時代の古い宣命 (せんみょう) を含み,一氏族の伝承として伝えられている点が文学史上注目される。

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デジタル大辞泉の解説

たかはしうじぶみ〔たかはしうぢぶみ〕【高橋氏文】

奈良時代の古記録。朝廷の内膳司に仕えた高橋氏が、安曇(あずみ)氏との勢力争いをめぐり、自家の優位を示すために延暦8年(789)朝廷に提出した家記とこれを裁定した同12年の太政官符。逸文として伝わる。

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百科事典マイペディアの解説

高橋氏文【たかはしうじぶみ】

日本古代の文書。宮内省内膳司(ないぜんし)の職員であった高橋氏と安曇(あずみ)氏が席次を争ったとき,高橋氏が古くからの家の歴史を文書にして提出したもの。792年高橋氏の勝訴を認めた太政官符が付け加えられている。

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世界大百科事典 第2版の解説

たかはしうじぶみ【高橋氏文】

日本古代の氏文の一つ。高橋氏が遠祖磐鹿六鴈命(いわかむつかりのみこと)以来天皇の供御のことに奉仕してきた由来を述べ,律令時代に入って高橋氏と並んで内膳司に奉仕する阿曇(あずみ)氏に対し,高橋氏の優位を主張したもの。789年(延暦8)に上申した家記に,高橋氏の優位を認めた792年の太政官符を付け加えたものである。高橋氏文の全文は伝わらないが,《本朝月令》《年中行事秘抄》《政事要略》などに引用される逸文によりその概要を知ることができる。

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大辞林 第三版の解説

たかはしうじぶみ【高橋氏文】

歴史書。789年成立。宮内省内膳司うちのかしわでのつかさの職にあった高橋氏が、同職の阿曇あずみ氏との席次争いに際し、自氏の正統性を弁ずるために奏上した文書。高橋氏の優位を認めた792年の太政官符をも含む。完本は伝わらず、逸文が諸書に引用されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

高橋氏文
たかはしうじぶみ

奈良時代の家記。高橋氏は膳部(かしわで)氏とも称し、安曇(あずみ)氏と並んで内膳司(ないぜんし)であったが、安曇氏との間で主導権争いを生じ、しばしば衝突を起こしたため、789年(延暦8)両氏がそれぞれ家記を奏上した。このとき奏上された高橋氏の家記と認められるものが「高橋氏文」として引かれて残る。逸文のみであり、今日一つの成書として残っているわけではない。『本朝月令(がつりょう)』『政事要略』などに引用するところで、記事二条と、両氏の紛争を裁定した792年の太政官符(だいじょうかんぷ)とが伝えられる。記事の1条は、『日本書紀』景行(けいこう)紀53年条と酷似し、その関係が注目される。691年(持統天皇5)に「纂記(さんき)」を提出した18氏中に膳部氏の名もみえるので、家記原本の成立には、そこまでさかのぼる部分を含むことも想定できなくはない。古代文学、古代史において氏族伝承という領域を考えるうえで重要な資料となる。[神野志隆光]
『『高橋氏文考註』(『伴信友全集3』所収・復刻版・1977・ぺりかん社) ▽安田尚道・秋本吉徳校注『新撰日本古典文庫4 古語拾遺・高橋氏文』(1976・現代思潮社)』

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世界大百科事典内の高橋氏文の言及

【氏文】より

…これらが《新撰姓氏録》の基礎となったが,氏文もその一つである。平安時代に提出された《高橋氏文》は,伝統的な氏である膳(かしわで)氏が高橋朝臣と改姓されてから,安曇(あずみ)氏に対する自己の氏の由来をまとめたもので,《古語拾遺》も,斎部(いんべ)氏が中臣(なかとみ)氏に対して,みずからの立場を主張した氏文と考えてよい。ほかに《丹生祝氏文(にうはふりうじぶみ)》なども残っている。…

※「高橋氏文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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