鮫川(読み)さめがわ

日本歴史地名大系 「鮫川」の解説

鮫川
さめがわ

東白川郡鮫川村戸草とくさ付近に源を発し、北流して同郡古殿ふるどの町に入り、大きく流路を変えて南東流し阿武隈高地中を流れ下り、田人町石住たびとまちいしずみいわき市に入り、御斎所ごさいしよ山の北麓を通って遠野町根岸とおのまちねぎし入遠野いりとおの川を合流して南流、山田やまだ町で平地に出て、沼部ぬまべ町で四時しとき川を合流、ほぼ東流して菊多きくた浦で太平洋に注ぐ。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鮫川」の意味・わかりやすい解説

鮫川(村)
さめがわ

福島県中通り南部、東白川郡の村。阿武隈高地(あぶくまこうち)に位置し、鮫川上流域を占める。国道349号が村の中央を南北に走り、南部で289号と会合する。村域の大部分山地で、杉の用材の産が多い。谷底耕地と山地斜面ではコンニャク・葉タバコの栽培や肉牛乳牛の飼育が行われる。集落は鮫川の沿岸低地に散在し、中心は赤坂中野である。鮫川に沿って湯の田温泉がある。また、南東部には鹿角平(かのつのだいら)観光牧場がある。富田薬師堂の薬師如来立像と2躯の金剛力士立像は県指定文化財。壇ノ岡遺跡など縄文時代の遺跡もある。面積131.34平方キロメートル、人口3049(2020)。

原田 榮]

『『鮫川村史』全3巻(1990~2000・鮫川村)』



鮫川
さめがわ

福島県南東部を流れて太平洋に注ぐ川。阿武隈(あぶくま)高地南部の鮫川村戸草付近に源を発し、上流部で幅300メートルほどの谷底平野を伴いながら組矢(くみや)川、大平川、小松川などをあわせ、古殿(ふるどの)町からいわき市田人(たびと)にかけて峡谷をうがって南東流し、いわき市植田で菊多浦に注ぐ。流路延長約60キロメートル、流域面積538平方キロメートル。本流沿いには古くから御斎所(ございしょ)街道が通じていた。下流部には高柴(たかしば)ダムがある。

[中村嘉男]

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改訂新版 世界大百科事典 「鮫川」の意味・わかりやすい解説

鮫川 (さめがわ)

阿武隈高地南部,福島県東白川郡鮫川村に源を発し,古殿(ふるどの)町を経ていわき市佐糠町で太平洋に注ぐ河川。全長65km,流域面積601km2。上流部の古殿町竹貫(たかぬき),松川付近では谷底平野をつくるが,大原(だいばら)からは峡谷をうがって南東流し,井戸沢から平地を流れる。この川筋は福島県中通りと浜通りとを結ぶ御斎所街道として交通路に利用されてきた。中流の峡谷には高柴ダムがあり,いわき市の工業用水などに利用されている。また峡谷部の河床では結晶片岩質の巨礫を産し,鮫川石として庭石に珍重される。
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鮫川[村] (さめがわ)

福島県南東部,東白川郡の村。人口3989(2010)。阿武隈高地南部に位置し,なだらかな山地をぬって鮫川,渡瀬(わたらせ)川が流れる。沿岸に平地が点在するが,大部分は山林原野である。中世以降赤坂郷と呼ばれ,中心の赤坂中野は中通りの棚倉や浅川と,浜通りの勿来(なこそ)を結ぶ街道の要地であった。コンニャク芋や葉タバコの栽培,畜産が盛んで,1975年からは阿武隈山系開発事業が進められ,放牧場,牧草地が開かれている。鮫川,渡瀬川上流は景勝地で,渓流に沿って湯ノ田,松ノ湯,戸倉など閑静な温泉地がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鮫川」の意味・わかりやすい解説

鮫川
さめがわ

福島県の南東部を流れる川。全長約 67km。阿武隈高地に源を発し,ほぼ南東流して入遠野川,四時川などの支流を合流,いわき市植田で太平洋に注ぐ。流れに沿って御斎所街道が通る。上流部の谷幅は広く埋積谷を形成するが,中流部では深い峡谷を刻む。下流部に発達する低地の重要な水源で,中流部のいわき市遠野町で取水する鮫川用水は,磐城 (いわき) 地方南部を広く灌漑。渓口部に建設された高柴ダムは,いわき市に工業用水を供給する。

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