鳥追(読み)トリオイ

百科事典マイペディアの解説

鳥追【とりおい】

田畑に害をする鳥や獣をささらや棒で追い払う小正月の行事。おもに子どもが行う。長野・新潟両県や関東・東北地方に多く見られ,田の中に鳥追小屋をつくって煮たきをし,翌日これを焼き払う。西日本ではモグラ,イノシシなどを追うところもある。江戸時代の鳥追女(新年の門付(かどづけ)芸)の風俗はこの農村行事が都会化したもの。
→関連項目祝棒門付かまくら

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

とりおい【鳥追】

小正月行事の一つで,田畑を荒らす害鳥を年の初めにあらかじめ追い払っておこうとする呪的儀礼。長野県,新潟県や関東・東北地方の諸県を中心に分布している。正月飾などで作った仮小屋(かりごや)や雪室(ゆきむろ)を中心にして子どもたちが集まり,〈俺らが裏の早稲田の稲を,なん鳥がまぐらった。雀,スワドリ立ちやがれ。ホーイ,ホーイ〉とか,〈頭切って尾を切って,俵につめて海へ流す〉などという鳥追歌を歌いながら,拍子木を鳴らしたり,棒で地面をたたいて村々を一巡するものである。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内の鳥追の言及

【唱言】より

…信仰に起源をもつ唱言が多いため,信仰の衰退に伴い数は減じてきているが,今でも年中行事や神事の中に残っている。節分の〈福は内,鬼は外〉は代表的な例で,小正月には〈なるか,ならぬか〉〈なります,なります〉という成木(なりき)責めの問答形式の唱言や〈朝鳥ホイホイ,夕鳥ホイホイ〉と唱えながら子どもたちが村を巡回する鳥追などがあり,盆の精霊送りや雨乞いにも先祖や水神に呼びかける唱言が使われる。子どもが体を痛めた時に,親が〈チチンプイプイ……〉と唱えるのも唱言とされ,また子どもが〈蛍来い〉とか〈明日天気になーれ〉と言う童言葉なども唱言に由来するといわれ,子どもの生活に結びついたものが多い。…

【水口祭】より

…焼米を子どもたちに分け与える例も多く,千葉県君津郡では道の辻で子どもたちに分け与え,和歌山県東牟婁郡では子どもたちが田を回ってもらい歩く習俗があった。この焼米もらいを鳥追といったことから害鳥よけの行事でもあったことがうかがわれる。水口に木の小枝などを立てる例は東日本一帯に分布し,西日本でも見られる。…

【焼米】より

…そのためミノデ(水出)ヤッコメ,タネバヤシ,タナドキノヤンゴメ,トリノクチなどと呼び,順調な発芽を祈り,鳥などに荒らされぬように願う意味をこめている。この焼米を子どもたちが集団でもらって歩き,それを鳥追というところが千葉県や静岡県などにある。子どもはもらった焼米を食べるのであるが,正月の鳥追行事も子どもが行うところが多いから,その延長行事と考えることもできる。…

※「鳥追」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

グランピング

「グラマラス(Glamorous)」と「キャンピング(Camping)」を掛け合わせた造語で、ホテル並みの設備やサービスを利用しながら、自然の中で快適に過ごすキャンプのこと。従来型のキャンプとは一線を...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android