麗水(読み)れいすい(その他表記)(R)Yǒsu

改訂新版 世界大百科事典 「麗水」の意味・わかりやすい解説

麗水 (れいすい)
(R)Yǒsu

韓国,全羅南道の南海岸にある都市。人口30万3233(2000)。前面の突山島が風波を防ぐ絶好の港に恵まれ,李朝時代には海防上の要地として水軍が置かれ,豊臣秀吉軍の侵入の際,李舜臣の活躍した古戦場として知られる。近代に入ってからは南海諸島への海上交通,近海漁業基地として商業都市となった。1948年,南朝鮮単独選挙に反対して蜂起した済州島民鎮圧のために出動した海軍の反乱事件で有名である(麗水・順天反乱事件)。麗水から統営市(旧忠武市)沖合閑山島へ至る閑麗水道一帯は海の国立公園に指定され,定期遊覧船が回航されている。98年に麗川市を吸収合併,人口約33万(1999)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「麗水」の意味・わかりやすい解説

麗水(中国)
れいすい / リーショイ

中国、浙江(せっこう)省南部、甌江(おうこう)の中流域に位置する地級市。竜泉渓と好渓との合流点にある。人口265万7000(2014)。1市轄区、6県と唯一のショオ族(畬(よ)族)自治県である景寧(けいねい)県を管轄し、1県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。隋(ずい)代に松陽(しょうよう)県を割いて括蒼(かつそう)県が置かれ、唐代に麗水県に改められた。1986年市制施行。市の北部を仙霞嶺(せんかれい)から会稽山(かいけいさん)に至る山地が、南部を洞官山から括蒼山に至る山地がほぼ北東から南西方向に走る。米、茶、柑橘(かんきつ)類、タバコなどの農産物のほか、甌江の上流域で産する木材、アブラギリ、油茶(アブラツバキ)、竹などの林産物の集散地でもある。

[林 和生・編集部 2017年4月18日]


麗水(大韓民国)
れいすい / ヨス

韓国(大韓民国)、全羅南道の南東端の麗水半島南端に位置する港湾都市。1949年麗水邑(ゆう)(邑は町の意)が麗水市と麗水郡に分離。86年麗水市より麗川地区が分離し、市に昇格。98年麗水市、麗川市、麗水郡が統合し、現在の麗水市となった。面積498.1平方キロメートル、人口30万3115(2000)。1949年に開港された輸出入港および漁業前進基地であり、おもな輸入貨物は穀物石炭、木材、輸出品はセメント鮮魚である。南部の多島海ではカタクチイワシマアジタチウオアワビカキサワラ、タイなどの水揚げが多い。工業は造船、製氷、ゴム、精米、機械、セメント工業が盛んである。北東部に重化学工業の麗川工業基地があり、臨海観光都市としても発達している。鉄道全羅線の終点であり、沿岸島嶼(とうしょ)を連絡する海上交通の中心地でもある。

[張 保 雄]

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百科事典マイペディア 「麗水」の意味・わかりやすい解説

麗水【れいすい】

韓国,全羅南道の南東端,麗水半島の先端にある港湾都市。南に突山島・金鰲島,東に南海島があって自然の防波堤をなす良港。1922年光州線,1936年全羅線の開通により,木浦と並んで日本との交易港として繁栄。解放後に開港場となった。市の西側18kmのところに,石油化学を主体とする麗川工業団地がある。港には中東からの原油タンカーが横着けされる。また沿岸漁業の中心地でもある。閑麗海上国立公園の起点。27万8000人(2005)。
→関連項目閑麗水道

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世界大百科事典(旧版)内の麗水の言及

【金沙江】より

…この名は川から砂金がとれることによる。明の宋応星は《天工開物》で,〈水中からとれる金〉は麗水すなわち金沙江の数ヵ所にのぼることを指摘している。【駒井 正一】。…

※「麗水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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