観世左近(読み)カンゼサコン

デジタル大辞泉 「観世左近」の意味・読み・例文・類語

かんぜ‐さこん〔クワンゼ‐〕【観世左近】

能楽シテ方観世流宗家の代々の名。7世元忠より24世元滋もとしげまでのうち、10人が名のる。特に元滋は、その容貌ようぼう美声で人気を博し、明治・大正・昭和の同流隆盛をもたらした。

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精選版 日本国語大辞典 「観世左近」の意味・読み・例文・類語

かんぜ‐さこん【観世左近】

  1. 能楽師。観世流シテ方。二四世宗家。二三代宗家、清廉の養子。本名、清久。京都出身。能楽界の重鎮として活躍し、東京音楽学校でも教えた。著「能楽随想」。明治二八~昭和一四年(一八九五‐一九三九

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「観世左近」の解説

観世 左近
カンゼ サコン


職業
能楽師(観世流シテ方)

肩書
観世流25代目宗家

別名
幼名=正司,前名=観世 元正(カンゼ モトマサ)

生年月日
昭和5年 7月25日

出生地
東京都

学歴
成城学園中等科〔昭和19年〕中退

経歴
昭和10年24代目宗家・観世左近(元滋)の養嗣子となり、11年初舞台。14年左近の死去により9歳で6代目観世銕之丞(のちの観世華雪)の後見のもと25代目宗家を継ぎ、元正を名乗る。25年後見人の手を離れ一本立ちとなる。26年に歌舞伎座に初進出、観阿弥生誕600年記念の演能を行い、“伝統に時代を注入”といわれた。29年戦火で焼失した大曲観世能楽堂を復興、また明治以来の観世・梅若家の確執を解決した。40年東京能楽団として渡欧し演能。42年能楽協会理事長。63年12月左近を襲名。

所属団体
観世会(会長),日本能楽会(常任理事)

受賞
日本芸術院賞(第44回)〔昭和63年〕

没年月日
平成2年 8月26日 (1990年)

家族
養父=観世 左近(元滋 24代目宗家),長男=観世 清和(能楽師)

伝記
昭和能楽黄金期―山崎有一郎が語る名人たち 山崎 有一郎 著,三浦 裕子 聞き手(発行元 檜書店 ’06発行)


観世 左近
カンゼ サコン


職業
能楽師(観世流シテ方)

肩書
観世流24代目宗家

別名
幼名=清久,前名=観世 元滋,号=光雪

生年月日
明治28年 12月18日

出生地
京都

経歴
片山九郎三郎(後の観世元義)の長男。明治33年「花筐」の子方で初舞台、35年「岩船」で初シテ。40年23代目観世清廉(伯父)の養子と決まって上京、44年24代目宗家を継ぎ、大正2年元滋と改名、昭和2年左近を襲名した。6年東京音楽学校(東京芸大)講師、11年教授となった。宗家を継いだ年に免状発行をめぐる梅若問題が起こったが、難問を打開、華麗な芸風の観世流能楽の黄金期を築いた。養嗣子25代目元正と実子の元昭が家芸を継いだ。

没年月日
昭和14年 3月21日 (1939年)

家族
実父=観世 元義,養父(伯父)=観世 清廉(23代目宗家),実子=観世 元昭,養子=観世 左近(元正 25代目宗家)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「観世左近」の意味・わかりやすい解説

観世左近
かんぜさこん
(1895―1939)

能のシテ方、観世流24世宗家。22世宗家清孝(きよたか)の三男観世元義(もとよし)(片山九郎三郎)の長男。京都生まれ。幼名清久。伯父の23世観世清廉(きよかど)の養子に入り、1911年(明治44)宗家を継ぐ。のち元滋(もとしげ)と名のり、1927年(昭和2)左近を襲名。華麗な芸風と見識ある政治的手腕をもって、観世流をさらに大きく進展させた。東京音楽学校の教授も務め、著書に『能楽随想』がある。宗家25世元正(もとまさ)(1930―1990)は左近の養子で、左近の叔父の子藤田等の息。端麗な芸風。『砧(きぬた)』を舞った後に急死。元正の長男の清和(きよかず)(1959― )はその後継者。平成を代表する演者。闊達(かったつ)な芸風の観世元昭(もとあき)(1937―1993)は左近の実子。京都観世流の統率者片山家の先代片山博通(ひろみち)(1907―1963)は左近の弟で、京舞の4世井上八千代はその妻。子に片山博太郎(芸術院会員、1930― )、慶次郎(1933― )、杉浦元三郎(1934―2014)がいる。なお、左近は観世宗家の通り名で、7世から11世、15、18、20、22、24世の10人が名のっている。

[増田正造]

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20世紀日本人名事典 「観世左近」の解説

観世 左近
カンゼ サコン

昭和期の能楽師(観世流シテ方) 観世流25代目宗家。



生年
昭和5(1930)年7月25日

没年
平成2(1990)年8月26日

出生地
東京

別名
幼名=正司,前名=観世 元正(カンゼ モトマサ)

学歴〔年〕
成城学園中等科〔昭和19年〕中退

主な受賞名〔年〕
日本芸術院賞(第44回)〔昭和63年〕

経歴
昭和10年24代目宗家・観世左近(元滋)の養嗣子となり、11年初舞台。14年左近の死去により9歳で6代目観世銕之丞(のちの観世華雪)の後見のもと25代目宗家を継ぎ、元正を名乗る。25年後見人の手を離れ一本立ちとなる。26年に歌舞伎座に初進出、観阿弥生誕600年記念の演能を行い、“伝統に時代を注入”といわれた。29年戦火で焼失した大曲の観世能楽堂を復興、また明治以来の観世・梅若家の確執を解決した。40年東京能楽団として渡欧し演能。42年能楽協会理事長。63年12月左近を襲名。


観世 左近
カンゼ サコン

明治〜昭和期の能楽師(観世流シテ方) 観世流24代目宗家。



生年
明治28(1895)年12月18日

没年
昭和14(1939)年3月21日

出生地
京都

別名
幼名=清久,前名=観世 元滋,号=光雪

経歴
片山九郎三郎(後の観世元義)の長男。明治33年「花筐」の子方で初舞台、35年「岩船」で初シテ。40年23代目観世清廉(伯父)の養子と決まって上京、44年24代目宗家を継ぎ、大正2年元滋と改名、昭和2年左近を襲名した。6年東京音楽学校(東京芸大)講師、11年教授となった。宗家を継いだ年に免状発行をめぐる梅若問題が起こったが、難問を打開、華麗な芸風の観世流能楽の黄金期を築いた。養嗣子25代目元正と実子の元昭が家芸を継いだ。

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百科事典マイペディア 「観世左近」の意味・わかりやすい解説

観世左近【かんぜさこん】

能楽師。シテ方観世流宗家の通り名。24世〔1895-1939〕は幼名清久,前名元滋(もとしげ)。伯父23世清廉(きよかど)の養子。1911年宗家を継承。政治的手腕と流麗な芸風で大いに観世の流勢を伸ばした。25世〔1930-1990〕は前名元正。22世清孝の曾孫で24世の養子。
→関連項目観世華雪

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「観世左近」の解説

観世左近 かんぜ-さこん

1895-1939 明治-昭和時代前期の能楽師シテ方。
明治28年12月18日生まれ。観世元義(片山九郎三郎)の長男。伯父の宗家23代観世清廉(きよかど)の養嗣子となり,明治44年清廉没後,宗家24代をつぐ。のち元滋(もとしげ)を名のり,昭和2年左近を襲名。華麗で品格ある芸で知られた。観世の流内を統一し,流勢を拡大する一方,能楽・謡曲の普及につくす。東京音楽学校(現東京芸大)教授。昭和14年3月21日死去。45歳。京都出身。本名は清久。号は光雪。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「観世左近」の意味・わかりやすい解説

観世左近
かんぜさこん

[生]1895.12.2. 京都
[没]1939.3.21. 東京
能楽シテ方。観世流。本名清久。観世流 22世宗家清孝の3男片山寿 (観世元義) の長男として生れる。5歳のとき,『花筐』の子方で初舞台。 1907年,伯父 23世宗家清廉の養子となり,11年 24世宗家となる。 13年元滋を名のり,27年左近を襲名。東京音楽学校の教壇に立ち,また大正改版謡本,大成版謡本を制定し,能楽師協会を創設した。

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367日誕生日大事典 「観世左近」の解説

観世 左近(24代目) (かんぜ さこん)

生年月日:1895年12月18日
明治時代-昭和時代の能楽師。観世流シテ方
1939年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の観世左近の言及

【観世流】より

…信光・長俊らは作能にも新境地を開いた。室町幕府が傾くと,7世観世左近元忠(観世宗節)は駿河の徳川家康の保護を受け,その孫の9世左近忠親(観世黒雪)も家康に仕えたので,江戸時代は四座一流(観世・金春・宝生・金剛4座と喜多流)の筆頭として流勢を誇り,幕末までその地位は揺るがなかった。その間,15世観世(左近)元章(もとあきら)は,1765年(明和2)謡曲文・演出のすべてにわたる大改革〈明和の改正〉を行ったことで名高い(ただしあまりに急激な改革のため没後は旧に復した)。…

※「観世左近」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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