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Bファクトリー Bふぁくとりー/びーふぁくとりーB‐factory

知恵蔵の解説

Bファクトリー

CP対称性の破れをみるため、電子と陽電子の衝突でB中間子反B中間子を量産、それらの崩壊の様子を比べる装置。2000年代に入って高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県)と米スタンフォード線形加速器センター(SLAC)がともに破れを観測した。これは、2008年にノーベル物理学賞を受けることになった小林誠(KEK名誉教授)、益川敏英(京大名誉教授)の小林・益川理論の精密検証となった。その破れ方に今日の標準理論からのずれらしきものも見つかり、新しい理論の構築につながるかもしれないと期待されている。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

ビー‐ファクトリー【Bファクトリー】

高エネルギー加速器研究機構(KEK)にある衝突型加速器の通称。素粒子物理学の実験を行う巨大な装置で、平成10年(1998)より運転開始。高いエネルギーを与えて加速させた電子陽電子を周囲約3キロメートルの2本のリングにそれぞれ蓄積し、交差点で衝突させ、B中間子とその反粒子の反B中間子を大量に作り出す。それらの崩壊の過程を観測するベル実験が行われ、CP対称性の破れが精密に検証された。この実験により、小林益川理論が裏付けられ、平成20年(2008)に小林誠益川敏英ノーベル物理学賞を受賞した。KEKB(ケックビー)。

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百科事典マイペディアの解説

Bファクトリー【ビーファクトリー】

六つあるクォークの一つであるボトムクォークあるいはその反粒子を含むB中間子を大量に作り出す専用加速器。80億eV(電子ボルト)の電子と35億eVの陽電子とを衝突させてB中間子を多数生成し,CP対称性の破れに関する現象を詳しく調べる。
→関連項目加速器研究施設高エネルギー物理学研究所素粒子原子核研究所トリスタン標準模型

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

Bファクトリー
びーふぁくとりー

6種のクォークのうち、第5番目のボトム(b)クォークを含むB中間子を大量に作り出し、物理学の基本法則、CP(拘電パリティ)対称性の破れを検証する計画。素粒子の基本的な相互作用を理解するうえで、対称性は重要な概念である。自然界が完全な対称性を基礎として記述できることは、物理学者の夢であり、対称性は理論を作り上げるための力強い指針となってきた。粒子と反粒子の対称性を表すCP対称性が破れていることはすでに実験で見つかっているが、その原因はわかっていない。われわれの宇宙がビッグバンで生まれたときには粒子と反粒子の数は等しかったはずであるが、今日の宇宙は粒子だけからできていると考えられ、ここでもCP対称性が破れている。CP対称性は第3世代のクォーク(bとトップ=tクォーク)の存在と深く結び付いており、bクォークの性質をくわしく調べることにより、標準理論を超えて、素粒子の世界や宇宙の開闢(かいびゃく)をさらに深く理解するための重要な手掛かりが得られるものと予想される。クォークは単独では存在できないので、bクォークの性質を調べるには、bクォークとダウン(d)クォーク(またはアップ=uクォーク)が結合したB中間子を生成し、その崩壊過程を精度よく測定する。実験装置は、電子と陽電子を衝突させる円形加速器と、そこでつくられたB中間子とその反粒子(反物質)、反B中間子の崩壊過程を観測する大型測定器からなる。B中間子の寿命は1兆分の1秒と短く、その観測には特殊なくふうがなされている。実験・研究は、高エネルギー加速器研究機構とスタンフォード線形加速器研究所(SLAC)で進められており、高エネ研のBファクトリーでは1999年春に電子・陽電子衝突に成功している。すでにB中間子、反B中間子の関係する事象が多数観測されているが、さらに数年のデータ収集が必要である。[広瀬立成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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