C4植物
シーよんしょくぶつ
C4-plant
光合成能率の高い特有の反応経路をもつ植物群。トウモロコシ,サトウキビなど,強光下で育つ重要な作物がこれに属するので,ことに熱帯地方などでの作物の光合成能率に関して,重視されている。光合成の高能率は,低濃度の炭酸ガスを有効に利用できるからで,これは葉肉細胞中で,リンエノルピルビン酸 (炭素C原子3個,C3 化合物) に炭酸ガスを固定してオキザロ酢酸,リンゴ酸,アスパラギン酸 (いずれも C4 化合物) にする酵素活性が強く,これら C4 物質が維管束細胞に入っていって,光合成のカルビン回路に炭素を与えるからである。また通常の植物 ( C3 植物) の光合成の際に著しい光呼吸──カルビン回路の中間産物が酸素で酸化されることにより,暗時よりも酸素消費が高まってしまう現象で,光合成系の漏れを示している──も C4 植物では低い。ほかにも,光飽和に達してしまう光量は C4 植物のほうが大きく,水分の蒸散速度は C4 植物のほうが低いなど,さまざまな有利な特性をもつ。
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C4植物【シーよんしょくぶつ】
光合成における炭酸固定経路にC4ジカルボン酸回路を用いる植物。初期産物の炭素数が4であるためこう呼ばれる。イネ科,カヤツリグサ科,ヒユ科,アカザ科,オシロイバナ科,キク科など多様な系統に属する20科約1200種の植物が知られる。光合成速度が光の強さに比例し,飽和点が見られず,最大光合成速度はC3植物の約2倍。強い日射のもとで高温や乾燥に耐えるよう適応した植物と考えられる。
→関連項目光合成
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