z項(読み)ぜっとこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「z項」の意味・わかりやすい解説

z項
ぜっとこう

天文緯度の観測値に含まれている、極運動以外の経度に無関係な年周変化をいう。木村栄(ひさし)により1902年(明治35)発見された。1年周期で、振幅は約100分の4秒角、最大と最小はそれぞれ冬至および夏至におこる。z項の原因として、天文学地球物理学、気象学など多くの分野から研究が発表されたが、約70年間、謎(なぞ)のままであった。

 地球の内部は、地殻マントル、流体外核、固体内核からできている。こうした構造をもち、かつ変形する地球の回転運動は、剛体と考えた地球の回転運動とは違ってくる。流体核とマントルの非弾性を考えた厳密な回転理論によると、地球の章動のうち、半年周章動の係数がもっとも大きく変わる。その量がz項の原因となることが、1970年に証明された。

[若生康二郎]

『高橋昌義著・井上正治絵『発明発見への道すじ4 船が「ウキ」になった!』(1990・大日本図書)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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