ベスト(英語表記)best

翻訳|best

デジタル大辞泉 「ベスト」の意味・読み・例文・類語

ベスト(best)

最上。最良。最優秀。また、そのもの。「新製品の中ではこれがベストだ」「自己ベストの記録」
最善。全力。「ベストを尽くして戦う」
[類語](1次善一番一等一級無上至上至高最高最上最良最善随一ぴか一白眉はくびナンバーワントップ最も/(2全力総力死力底力余力

ベスト(vest)

袖のない短い胴着。チョッキ
ベスト判」に同じ。
[類語]胴着チョッキ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ベスト」の意味・読み・例文・類語

ベスト

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] vest )[ 異表記 ] ヴェスト
  2. チョッキ。胴衣。
    1. [初出の実例]「石段の上にはガウンに長ヴェストの華盛頓(ワシントン)が右手を延ばして大統領の宣誓をして居る銅像が立って居るが」(出典:紐育(1914)〈原田棟一郎〉ウォール・ストリート)
  3. ベストばん(━判)

ベスト

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] best ) 最もすぐれたもの。一番よいもの。最良。最上。最善。他の外来語の上に付けても用いる。「ベストテン」「ベストメンバー」など。
    1. [初出の実例]「何うせ自分のベストを尽すより外に仕方がないのである」(出典:田舎教師(1909)〈田山花袋〉九)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベスト」の意味・わかりやすい解説

ベスト(チョッキ)
べすと
vest

スーツの上着の下に着る、男子用あるいは女子用の袖(そで)なし胴衣(チョッキ)のこと。また、16世紀のダブレットから発展した胴着。1670年ごろ現れた新型上衣ジュストコルjustaucorpsの前身であるジャーキンの下にも着用された。形はジュストコルに似ているが、袖が細く裾(すそ)が短い。主として部屋着として用いられたが、外出の際には前のボタンをきちんとかけ、その上に前を大きく開いた上着を着用した。上着と調和するよう贅(ぜい)が凝らされ、前中央打合せ部分や低い位置にあるポケットや裾(すそ)を中心に花模様の刺しゅうを施すなど、はでで華美なものが多かった。袖のあるものが多かったが、袖のないものも出てきた。上着が18世紀なかばにアビ・ア・ラ・フランセーズにかわり、その前端が胴から裾にかけて斜めに裁ち落とされると、それに倣ってベストの丈も短くなり、ルイ16世のころ(18世紀後半)にイギリス型の袖なしのジレにとってかわられる。これらが土台になって、19世紀なかばに現代の三つ揃(ぞろ)いが確立した。その後、女性のスーツが出現し、女性もベストを着用するようになった。

 19世紀なかば以降、イギリスではウエストコートwaistcoatといい、ベストというと男子用の肌着をさす。婦人用のコートやガウンなどのV字形の前飾りや、古代あるいは東洋のルースな外着やローブの類もベストという。日本ではチョッキ、ときにはジレと同義に用いられる場合もある。

[田村芳子]


ベスト(George Best)
べすと
George Best
(1946―2005)

北アイルランドのプロサッカー選手。5月22日、北アイルランドのベルファストに生まれる。北アイルランドはワールドカップには出場できなかったため、プレーヤーとしての実質的なキャリアは1963年にマンチェスターユナイテッドイングランド)に入ってからの10年あまりだが、強烈な印象を残した。次々と相手をかわしていくドリブルがトレードマークであった。細身で長髪、ビートルズの台頭と同時期に絶頂期を迎えたため、「5人目のビートルズ」というニックネームがつき、最高の人気を得た。1968年ヨーロッパ・チャンピオンズ・カップ(現、UEFAチャンピオンズ・リーグ)で優勝し、同年のヨーロッパ最優秀選手賞(バロンドール)も受賞。得点感覚にも優れ、やはりこのシーズンのイングランドリーグ得点王になったが、その後しだいにピッチから遠ざかった。「引退」と「復帰」を繰り返したが、かつての輝きを取り戻すことはなかった。最後のチームはスコットランドのハイバーニアンという小さなクラブで、この時34歳であった。20歳代の前半で全盛期を過ぎてしまったベストにしては、意外なほど長いキャリアであった。

[西部謙司]


ベスト(Charles Herbert Best)
べすと
Charles Herbert Best
(1899―1978)

カナダの生理学者。インスリン発見者の一人。1921年春、生化学実習を終了したばかりの22歳の学生だったベストは、トロント大学生理学教授J・J・マクラウドから、バンティングの膵臓(すいぞう)の内分泌研究の助手に推薦された。二人の実験は精力的に進められ、わずか2か月でインスリンの抽出に成功した。1923年バンティングとマクラウドは、インスリンの発見でノーベル医学生理学賞を受け、バンティングは賞金をベストにも分けた。1925年ベストはトロント大学を卒業し、数年間ロンドンで研究したのち、新設のトロント大学生理衛生部の部長となり、1929年マクラウドの退職後、生理学教授の職を継いだ。1954年設立のベスト研究所の所長、イギリス王立協会会員、アメリカ糖尿病学会名誉会長を歴任した。

[古川 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ベスト」の意味・わかりやすい解説

ベスト
vest

丈の短い袖無しの胴衣で,日本ではチョッキともいう。ベストはアメリカでの名称であり,イギリスではウエストコートwaistcoatと呼ぶ。ベストの起源は16世紀にまでさかのぼるが,現代のベストに形態的に直接つながるのは,19世紀の初期からイギリスの郵便配達夫や御者が防寒のために着た紡毛地のポストボーイ・ウエストコートとされている。代表的なベストはスーツ・ベストといわれる三つ揃いの背広のベストで,シングル型,ダブル型,衿なし型,衿つき型などとデザインの種類は非常に多く,古い時代のものほどその形態が多様である。礼装に使われるのがドレス・ベストで,グレーや白のフランネルやピケが使われる。ニットのベストにはかぶり式と,前をボタンやファスナーで留めるカーディガン型のものがあり,レジャー用のものでは小型のポケットを数個以上つけた釣りや狩猟用に独自の機能をもたせたものがある。1970年代以降はウエスト丈より長いベストと共地のズボンを組み合わせたベスト・スーツのような上着化が顕著になっている。
チョッキ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベスト」の意味・わかりやすい解説

ベスト
Best, Charles Herbert

[生]1899.2.27. ウェストペンブローク
[没]1978.3.31. トロント
カナダの生理学者。 1925年トロント大学卒業。在学中の 21年に F.バンティングの実験助手となり,イヌの膵臓からインスリンを抽出することに成功した。このほか,ビタミンB複合体のコリンや酵素のヒスタミナーゼを発見。血栓症の治療に抗凝固剤の使用を提唱した最初の人でもある。 29~65年,トロント大学の生理学主任教授。 41~67年,バンティング=ベスト医学研究所所長。主著『臨床医学の生理学的基礎知識』 The Physiological Basis of Medical Practice (1937) 。

ベスト

「チョッキ」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ベスト」の意味・わかりやすい解説

ベスト

上衣とシャツの中間に着る袖(そで)のない胴衣。ウエストコートとも。燕尾(えんび)服には白,タキシードには黒,背広の三つ揃いでは前面を共地で作ったチョッキを着用するが,形はシングル,ダブル,衿(えり)なし,衿つきとさまざまである。日本語ではチョッキとも呼ばれたが,最近ではこの言葉はあまり使われない。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のベストの言及

【チョッキ】より

…袖がなく丈の短い胴衣で,セビロ(背広),ワイシャツなどと同じように日本独自の疑似外来語の服飾用語。英語のベストと同じ意味で使われる。背広のチョッキ,毛糸のチョッキなどというように用いられ,明治以来ごく一般的な用語だったが,1960年代から70年代にかけてほとんど一般的には使われなくなり,それに代わってベストという呼び方がごく普通になった。…

※「ベスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android