天青石(読み)テンセイセキ(その他表記)celestite

翻訳|celestite

デジタル大辞泉 「天青石」の意味・読み・例文・類語

てんせい‐せき【天青石】

硫酸ストロンチウム主成分とする鉱物。透明で無色または淡青色。斜方晶系ストロンチウムを含むため、炎色反応は赤を呈する。花火ガラスなどに用いられる。セレスタイトセレスタイン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天青石」の意味・わかりやすい解説

天青石
てんせいせき
celestite

ストロンチアン石とともにもっとも普通に産するストロンチウム(Sr)の鉱物。石灰岩あるいは石灰質堆積(たいせき)岩中に団塊をなし、低温熱水鉱床黒鉱鉱床、噴気性鉱床中に産する。自形斜方板状のものが多い。重晶石とは同構造で外観上類似するが比重が小さい。日本では島根県簸川(ひかわ)郡大社(たいしゃ)町(現、出雲(いずも)市)鵜峠(うど)鉱山閉山)の黒鉱鉱床に伴われる石膏(せっこう)鉱石中に細脈をなして産したほか、福島県郡山(こおりやま)市安積(あさか)鉱山(閉山)からも同様の産状で産した。ここでは含Sr硬石膏の加水産物として生成された石膏と共存する。また高知県佐川町では、石灰岩の採掘場でストロンチアン石に伴う少量の産出例が知られる。英名は、天体を意味するラテン語caelestisに由来する。和名は、本鉱が空色であることによる。

加藤 昭 2017年12月12日]



天青石(データノート)
てんせいせきでーたのーと

天青石
 英名    celestite
 化学式   Sr[SO4]
 少量成分  Ca,Ba
 結晶系   斜方(直方
 硬度    3~3.5
 比重    3.98
 色     無、白、淡青灰、淡青
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    一方向に完全、二方向に良好
       (「劈開」の項目を参照)

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改訂新版 世界大百科事典 「天青石」の意味・わかりやすい解説

天青石 (てんせいせき)
celesite

化学成分SrSO4の鉱物。重晶石族に属し,金属ストロンチウムの重要な鉱石。斜方晶系。重晶石に似て(001)に平行な厚い板状結晶やa軸またはb軸方向にのびた柱状結晶として産する。{001}に完全な,{210}に良好なへき開を有する。モース硬度3~3.5,比重4.0。ガラス光沢を示し,ふつう無色,淡青色,白,赤,緑,褐色。名前は空色を呈することに由来する。石灰岩,砂岩などの堆積岩中や熱水鉱脈中に産する。日本では島根県鵜峠のセッコウ鉱床から産出する。ストロンチウム化合物として,花火,ブラウン管のX線遮へい剤,水酸化カリウム脱鉄剤などに用いられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天青石」の意味・わかりやすい解説

天青石
てんせいせき
celestite

ストロンチウム硫酸塩鉱物。 SrSO4 。斜方晶系。硬度 3.5,比重 4.0。無色ないし淡青色,ガラス質光沢。石膏,硬石膏,岩塩などの鉱床に産出する。

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世界大百科事典(旧版)内の天青石の言及

【ストロンチウム】より

…天然に存在する量はカルシウムよりはるかに少ない。ストロンチウム鉱物も上記のストロンチアン石のほか,天青石(硫酸ストロンチウムSrSO4を主成分とする)がおもなものであるが,他のアルカリ土類金属の鉱物中にも少量ずつ含まれて産出する。金属は塩化ストロンチウムSrCl2をそのままか,あるいは塩化ナトリウムを加えて融解して電気分解するか,酸化ストロンチウムSrOをアルミニウムで還元して得られる。…

【ストロンチウム鉱物】より

…ストロンチウムを含む鉱物の総称。代表的な鉱物として天青石とストロンチアン石strontianiteがあり,それぞれストロンチウムの原料鉱物である。いずれも比重の大きいこと(3.6~4.0)が特徴である。…

※「天青石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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