宇治市(読み)ウジシ

デジタル大辞泉 「宇治市」の意味・読み・例文・類語

うじ‐し〔うぢ‐〕【宇治市】

宇治

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日本歴史地名大系 「宇治市」の解説

宇治市
うじし

面積:六七・二九平方キロ

京都府南部、宇治川流域に位置し、旧山城国宇治郡の南半と、久世郡の北東半を市域とする。西北部は京都市伏見区、東部は醍醐笠取だいごかさとり山地によって滋賀県大津市、東南部は綴喜郡宇治田原うじたわら町、西南部は城陽市および久世郡久御山くみやま町に接する。

市域東半部は、標高六〇二メートルの千頭せんず岳を主峰とする二〇〇―四〇〇メートルの丘陵地である。琵琶湖から流下する宇治川の谷口部に、古来の中心集落である宇治地区がある。その北方、宇治川右岸地区には奈良街道(古北陸道)に沿う宇治郡南部の諸集落を核とした住宅地が展開する。宇治川左岸には、その氾濫原と西部にかつて存在した巨椋おぐら(昭和一六年干拓)の湖岸線に沿う集落および農耕地が広がり、市域西南端は、京都盆地南部を北流する木津きづ川氾濫原に及んでいる。

宇治地方は、「山城国風土記」逸文によれば「本の名は許乃国このくに」といい、応神天皇の皇子菟道稚郎子うじのわきいらつこが宇治川谷口部の桐原日桁宮きりはらのひげたのみやに住んだことにより、宇治とよばれるようになったという。それはともかく、宇治が「内」を意味する地名であるのは、全国に散在する同名の地の立地・地形に徴して明らかである。文字は宇遅(古事記)、菟道(日本書紀)、兎道・氏・是(万葉集)、宇治(播磨国風土記)などが共用されてきたが、平安時代前期にはおおむね宇治と記すようになった。

〔原始〕

縄文時代の遺跡は発見されておらず、菟道西隼上とどうにしはやぶさあがり・小倉おぐら寺内てらうち・同町神楽田かぐらでん・宇治野神のがみ神明石塚しんめいいしづか広野ひろの一里山いちりやまから若干の弥生時代の遺物が発見されているにすぎない。しかし洪積段丘の先端や沖積段丘の低平地は農耕民の定住に適しており、隣接する城陽市域や京都市南部の縄文・弥生時代遺跡分布から、埋蔵先史遺跡の存在は確実視されている。

古墳時代の遺跡は、宇治川右岸の平野および洪積丘陵端に点在する宇治川東部古墳群と、市域南部の広野町から城陽市にかけての洪積段丘・扇状地に広く分布する久津川くつかわ古墳群に大別される。前者はおもに五世紀中葉以後の古墳群で、墳丘の全長一〇五メートルという京都府南部最大級の前方後円墳である五ヶ庄大林の二子塚ごかのしようおおばやしのふたごづかを含むなど、この地方に有力な古代豪族が居住したことを推測させる。後者は四世紀から六世紀前半にかけての大規模な古墳群であるが、分布の中核は城陽市域で、宇治市内には数基の散在が確認されているにすぎない。

〔古代〕

大和から北行する古北陸道は、木津川右岸に沿い、城陽市域から東北に向かって栗隈くりくま越を経て宇治川を渡り、右岸を北上して山科やましな盆地に入り、逢坂おうさか(現滋賀県大津市)に至っていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宇治市」の意味・わかりやすい解説

宇治〔市〕
うじ

京都府南東部,宇治川両岸に広がる市。京都市の南東に接する。1951年宇治町,東宇治町,槇島村(まきしまむら),小倉村,大久保村の 2町3村が合体して市制京都盆地中部の低地および台地と東方の山地にまたがる。中心市街地の宇治は宇治川の谷口集落。平安時代には貴族の別荘地。中世以降は宇治茶の産地として発展し,今日も碾茶(てんちゃ),玉露などの高級茶の生産地,集散地。化学,車両,電器などの近代工業も発達し,宅地化も進む。平等院は鳳凰堂,木造阿弥陀如来坐像などが国宝に指定され,庭園は史跡および名勝として名高い。また,日本最古の神社建築である本殿檜皮ぶき拝殿がともに国宝の宇治上神社がある。このほか,宇治神社の本殿と菟道稚郎子命坐像(うじのわきいらつこのみことざぞう。→菟道稚郎子),三室戸寺の木造釈迦如来立像,放生院(橋寺)の木造地蔵菩薩立像,地蔵院の板彫両界曼荼羅,黄檗山萬福寺の大雄寶殿,法堂,三門など,国の重要文化財を所蔵する名刹が多い。隼上り瓦窯跡(はやあがりかわらがまあと。国指定史跡),宇治川ラインの景勝地があり,観光地としても有名。宇治川一帯は琵琶湖国定公園に属する。JR奈良線,近畿日本鉄道京都線,京滋バイパスが通じ,京阪電気鉄道宇治線の起点。面積 67.54km2。人口 17万9630(2020)。

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