出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
御府内(ごふない)とも称し、江戸の範囲を示す用語であり、一方、地名としては大分市の旧称である。江戸の府内の範囲はかならずしも明確ではないが、1818年(文政1)になって「朱引(しゅびき)」としてその範囲が規定され、ほぼ町奉行(まちぶぎょう)支配の範囲とされた。
九州の府内は、大分市の古国府(ふるごう)の地に所在した律令(りつりょう)期以来の豊後(ぶんご)国府が起源。中世には府内とよばれるようになり、鎌倉時代には守護(しゅご)大友氏が古国府北部の上野丘に城館を構え、大友氏の威勢とともに東九州の政治・経済・文化の中心として栄えた。宗麟(そうりん)のとき貿易港としても繁栄のピークを迎え、キリスト教を保護し、ダイウス堂、病院などを設け、現在の元町付近から長浜町に至る市街地を整備したが、1586年(天正14)島津氏に焼き払われた。大友氏滅亡後は、早川長敏(ながとし)、福原直高(なおたか)、早川長政、竹中重利(しげとし)、日根野吉明(ひねのよしあきら)が相次いで支配し、1658年(万治1)に松平(大給(おぎゅう))忠昭(ただあき)が2万2000石で入部して府内城を居城として以来、府内藩は九州では数少ない譜代(ふだい)大名として明治まで続いた。1871年(明治4)廃藩とともに府内県となり、さらに78年大分県に編入され、その県庁所在地となって現在に至る。
[金田章裕]
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豊後国(大分県)の城下町。現在の大分市中心部。古代には豊後国府の所在地で,戦国時代には大友氏の城下が設けられ,海外貿易港としても繁栄し,府中とも呼ばれた。府内藩は1594年(文禄3)早川長敏,97年(慶長2)福原直高,99年早川長敏,1601年竹中重利,34年(寛永11)日根野吉明,58年(万治1)から大給(おぎゆう)松平氏と領主が交替した。近世の府内城下町の建設は,1597年福原直高が府内城の建設を開始したことに始まる。天守や楼櫓が完成したのは1602年で,竹中重利は城外に東西10町,南北9町の土塁を設け,城下町を完成させた。05年には外濠も完成,府内城は中濠,内濠の三重の濠に囲まれることになった。07年には城下町入口の笠和(かさわ)口,堀川口,米屋町口(塩九升(しよくじよう))口に関門を建てて出入りを守らせた。32年笠和口の濠外に西新町ができ,以後北新町,東新町と濠外に発展する。府内の町組は府内30町,松末11町,千手堂6町,笠和2町の4組に分かれ,各組に庄屋がおり,府内四庄屋といわれた。町組支配は宿老といわれる役人によってなされ,その上に全町を統括する惣宿老がいて宿老を指揮し,商工業者や旅人の支配に当たっていた。1710年(宝永7)の人口は5077。商業活動では,初期において西鶴の《日本永代蔵》に出てくる豪商守田山弥之助や京,大坂,堺に出店をもつ西海第一の富豪中屋宗悦などが著名である。一方殖産事業も推進され,幕末期には,近郊に吉兆原(きつちようばる),庄ノ原の開墾などが行われた。1872年(明治5)大分県庁が置かれて以来県都として発展した。75年大分町となり,1911年市制。
執筆者:豊田 寛三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
室町中期~戦国期に豊後国大分郡の大友氏の居城があった。現在の大分市上野町。鎌倉時代までは府中といわれ,古代以来の豊後国の行政の中心地。大友氏は元寇の頃にここに館を移したらしい。大友氏時代のようすを描いたと伝える「旧府内城下図」には,大友館やその築地東側に桜町・上市町・清忠寺町・今小路町・横町などがみえる。江戸時代の府内城下の形成に際し,大友氏以来の旧府内城下の町屋を移したという。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…宗麟は1559年(永禄2)までに豊後のほかに豊前,筑前,筑後,肥前,肥後の九州北半6ヵ国の守護職を得,九州探題職にも補せられた。1551年(天文20)ザビエルを府内に招いてキリスト教布教を許可するとともに,みずからも受洗しフランシスコと称した。府内には育児院や病院,教会などが建てられ,南蛮文化の拠点となった。…
※「府内」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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