息衝く(読み)イキヅク

デジタル大辞泉 「息衝く」の意味・読み・例文・類語

いき‐づ・く【息衝く】

[動カ五(四)]
息をする。生きている。「大都会片隅でひっそりと―・く」「現代に―・く古典
ため息をつく。嘆く。
「昼はも嘆かひ暮らし夜はも―・き明かし」〈・八九七〉
苦しそうに息をする。あえぐ。
「いと御腹高くて、―・き臥し給へり」〈宇津保・国譲下〉
[類語](3あえはあはあぜいぜいぜえぜえあえぎ喘ぎむせるむせ返るむせぶき切る息が切れる息を切らす息を弾ませる肩で息をするき込む息がはずむ息切れ息も絶え絶え胸苦しい重苦しい重重しい息詰まる寝苦しい息苦しい悶悶もんもん苦しい片息気息奄奄えんえん

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精選版 日本国語大辞典 「息衝く」の意味・読み・例文・類語

いき‐づ・く【息衝】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
  2. 息をする。呼吸する。
    1. [初出の実例]「鳰鳥(みほどり)の かづき伊岐豆岐(イキヅキ)(しな)だゆふ 楽浪道(ささなみぢ)を すくすくと 我がいませばや」(出典古事記(712)中・歌謡)
  3. 息をふきかえす。生きかえる。
    1. [初出の実例]「活 イキツク イキカエル」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
  4. ためいきをつく。嘆息する。
    1. [初出の実例]「青浪に 望みはたえぬ 白雲に 渧はつきぬ かくのみや 伊伎都枳(イキヅキ)居らむ かくのみや 恋ひつつあらむ」(出典:万葉集(8C後)八・一五二〇)
  5. 苦しそうに呼吸する。あえぐ。
    1. [初出の実例]「大納言〈略〉、いきつきふし給へり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  6. 一息つく。ほっとする。
    1. [初出の実例]「仏師、逃げのきて、いきつきたちて、思ふやう」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)九)
  7. 生きつづける。存在し続ける。
    1. [初出の実例]「彼の体内に息づいてゐたのはアジアの血であった」(出典:美貌の皇后(1950)〈亀井勝一郎〉飛鳥路)

いく‐づ・く【息衝】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ためいきをつく。いきづく。
    1. [初出の実例]「なせの子やとりの岡道(をかぢ)し中だをれ吾(あ)をねし泣くよ伊久豆君(イクヅク)までに」(出典:万葉集(8C後)一四・三四五八)

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