畳語(読み)ジョウゴ

デジタル大辞泉 「畳語」の意味・読み・例文・類語

じょう‐ご〔デフ‐〕【畳語】

同じ単語または語根を重ねて一語とした複合語意味を強めたり、事物複数を示したり、動作作用反復継続などを表したりする。「我々」「泣き泣き」「またまた」「はやばや」「知らず知らず」などの類。

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精選版 日本国語大辞典 「畳語」の意味・読み・例文・類語

じょう‐ご デフ‥【畳語】

〘名〙 同一の単語を重ねて一語とした複合語。体言動詞連用形および終止形形容詞語幹・連用形・終止形、副詞感動詞、語根、連語などが重複する。語の意味を強めたり、事物の複数、動作・状態の反復・継続などを示したりする。「人々」「山々」「泣き泣き」「あかあか」「よくよく」「またまた」「おいおい」「ほのぼの」「がらがら」「知らず知らず」の類。〔日本文法論(1902‐08)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「畳語」の意味・わかりやすい解説

畳語 (じょうご)

同一の造語要素の繰返しによって1語を形成したもの。複合語の一種。畳語には,自立する語句の重畳(〈人々〉〈みるみる〉〈よくよく〉〈知らず知らず〉),非自立語の重畳(〈ほのぼの〉〈ちかぢか〉)があり,それ自体自立語となるもの(以上の例),他の語の造語成分になるもの(〈いたいた-しい〉)がある。擬声語・擬態語にも重畳形式(〈トントン〉〈すくすく〉など)が多いが,その他の語では〈ひとびと〉〈ふかぶか〉〈かえすがえす〉のように連濁の現象があるのに,擬声語・擬態語では漢語の場合(〈転々〉〈嬉々〉など)と同様,連濁をおこさない。一般に畳語は,多数の表現または程度の強調に用いられ,動詞終止形の重畳は,副詞的修飾語をなすことが特色である。幼児語でも〈おめめ〉〈たあた(足袋(たび))〉〈おととをにに(煮)する〉など多いが,それは幼児のニュアンス以外に特別の意味の差を示さない。なお,〈わきを見い見い〉〈話を聞き聞き〉〈食っては寝食っては寝〉などの反復継続または同時進行の表現(動詞連用形の重畳),〈遠い遠い所〉〈赤く赤く燃えた〉〈静かに静かに降る〉などの程度強調(形容詞,形容動詞の連体形,連用形の重畳)は,1語とは認められないが,よく用いられる重畳表現である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「畳語」の意味・わかりやすい解説

畳語
じょうご

同一の形態素を重ねて用いた形式の複合語。「さらさら」のように全体がそうであるものと、「軽軽(かるがる)しい」のように一部が重ねられているもの(重綴(じゅうてつ))とがある。意味は場合によりさまざまであるが、いくつかの類型に分けられる。

(1)複数 人人、木木、山山
(2)反復 重ね重ね、次次、飛び飛び
(3)強調 まるまる、津津浦浦、見る見る
(4)不定 だれだれ、何何
(5)擬音・擬態語 きらきら、しずしず、ごろごろ、やれやれ
 このうち(1)から(4)は、基本的には複数を示すものと解される。(5)は、幼児語にも共通する、一種の強調と考えられるものである。

[近藤泰弘]

『阪倉篤義著『語構成の研究』(1966・角川書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「畳語」の意味・わかりやすい解説

畳語
じょうご

同一形態素の結合から成る合成語。「人々」「行く行く」「ほのぼの」など。また,同一形態素の結合によってつくられた語幹に接尾辞がついた「みずみずしい」のようなものも含める。擬声語擬態語に特に多い。

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世界大百科事典(旧版)内の畳語の言及

【数】より

…〈本がある〉という文において,本は数に関して特定されていない。〈山々〉〈人たち〉〈あなたがた〉などのように,畳語(じようご)や接尾辞によって複数を示す手段があるが,語彙や使用場面に種々の制約がみられる。なお,当然のことながら,数のカテゴリーをもたないことは,その言語の話者に数の観念が欠如していることを意味するものではない。…

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