笏拍子(読み)シャクビョウシ

デジタル大辞泉 「笏拍子」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐びょうし〔‐ビヤウシ〕【×笏拍子/尺拍子】

神楽かぐら催馬楽さいばらなどで用いる打楽器。長さ約36センチの笏を縦に二つに割ったもの。主唱者が両手に持って打ち合わせる。さくほうし。

さく‐ほうし〔‐ハウシ〕【×拍子】

しゃくびょうし(笏拍子)

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精選版 日本国語大辞典 「笏拍子」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐びょうし‥ビャウシ【笏拍子・尺拍子】

  1. 〘 名詞 〙 日本の打楽器の一つ神楽(かぐら)催馬楽(さいばら)東遊(あずまあそび)などで用いる楽器。笏を縦に二つ割りにした形の板で、主な歌い手がこれを打ち合わせて拍子をとる。さくほうし。〔教訓抄(1233)〕
    1. 笏拍子〈春日権現験記絵〉
      笏拍子〈春日権現験記絵〉

さく‐ほうし‥ハウシ【笏拍子】

  1. 〘 名詞 〙 日本の打楽器の一つ。笏を縦に二つ割りにした板で、神楽や催馬楽などで歌い手が拍子をとるのに用いる。ほうし。しゃくびょうし。
    1. [初出の実例]「みなさく拍子とれり。まづ勝方(かちがた)双調吹きて安名尊(あなたふと)遊ぶ」(出典天徳四年内裏歌合(960))

笏拍子の補助注記

「運歩色葉」に「笏拍子 サクヒャクシ」とある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「笏拍子」の意味・わかりやすい解説

笏拍子
しゃくびょうし

雅楽の謡物(うたいもの)(朗詠は除く)に用いられる打楽器。ツゲイチイなどでできた2枚の木片で、右の笏で左の笏の側断面を打つ。全長約36センチメートル。朝廷公事(くじ)の正装である束帯の際に手に持つ笏を、縦に真半分に割った形であるためこの名がある。神道(しんとう)系の雅楽(神楽歌(かぐらうた)、東遊(あずまあそび)、大直日歌(おおなおびのうた)、倭歌(やまとうた)、大歌(おおうた)、久米歌(くめうた)、誄歌(るいか))では日本在来の楽器として和琴(わごん)とともに用いられ、歌を担当する歌方(うたかた)の主唱者がフレーズのくぎりごとにこれを打つ。平安時代の歌曲催馬楽(さいばら)でもやはり主唱者が「三度拍子」「五度拍子」という単純なリズム型を打つ。この主唱者は句頭(くとう)とか拍子とよばれ、合奏全体を統率する役を果たす。そのほか歌舞伎(かぶき)の下座(げざ)音楽にも使われる。

[橋本曜子]

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百科事典マイペディア 「笏拍子」の意味・わかりやすい解説

笏拍子【しゃくびょうし】

日本伝統音楽の打楽器。を縦に二つに割ったもので,左手に持った1片の広い面に,右手に持った他の1片の内かどを打ちつけて鳴らす。雅楽の催馬楽(さいばら)や朗詠(ろうえい)などでは主唱者が全体をリードするために打つ。下座音楽や民俗芸能でも用いる。
→関連項目東遊句頭

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改訂新版 世界大百科事典 「笏拍子」の意味・わかりやすい解説

笏拍子 (しゃくびょうし)

雅楽の歌い物で使う打楽器。笏を縦に二つ割りにした形の板2枚で,長さ約36cm,厚さは約1cm,幅は上方約3.5cm,下方約2.5cm。両手で1枚ずつ持ち,右手の笏の切口と左手の笏の平面部とを打ち合わせる。東遊,神楽歌などの儀式音楽や催馬楽で,句頭とよばれる主唱者が打って拍節を示す。このほか歌舞伎囃子では王代物に使う。能の《道明寺》では白太夫の神が楽の冒頭で笏を打つ特殊演出を〈笏拍子〉とよぶ。日本で独自に作られたものらしい。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「笏拍子」の意味・わかりやすい解説

笏拍子
しゃくびょうし

日本の体鳴楽器。ツゲ,イチイなどの堅い木でつくられ笏を縦に2つに割ったような形で,左手は縦,右手は横に持って打鳴らす。雅楽のなかでも神楽をはじめとする「固有の歌舞」といわれるすべての祭祀音楽と,催馬楽 (さいばら) に用いられ,歌舞伎の下座音楽にも用いられる。雅楽では常に主唱者が持ち,歌声部のリズムを整える。

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世界大百科事典(旧版)内の笏拍子の言及

【拍子】より


【日本】
 以下に述べるように,複合語も含めてさまざまの使われ方をするが,〈打つ〉という行為によって具現され,あるいは感得されるリズムと強く結びついている点で共通している。まず打楽器類に笏(しやく)拍子,銅拍子,大拍子(だいびようし),拍子木,拍子盤などがあり,笏拍子は単に拍子とのみ称されることが多い。また能楽で使用される4種の楽器,笛(能管),大鼓(おおつづみ),小鼓,太鼓(締太鼓)を四拍子(しびようし)という。…

※「笏拍子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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