美容術を施すことを業とする者をいう。ヘアスタイリスト、ヘアデザイナーなどともいわれ、美容師法に基づいて美容師免許を取得し、パーマネント・ウエーブ、結髪、ヘアセット、ヘアカット、化粧、ブローなどの方法によって、容姿を美しくみせるための業務を行う。美容院(室)で働く者の資格で、かつては理容師の資格と同時に取得できたが、1957年(昭和32)美容師法の制定により、法的資格が区別された。
[横田敏一]
本来、女性のたしなみとして髪は自分で結うものとされていたが、非公式ながら職業として登場してきたのは江戸時代であった。江戸中期以降、たびたびの禁止令にもかかわらず、「女髪結い」は広く世に受け入れられるようになり、複雑な髷(まげ)を中心とした髪形を次々と生み出し、江戸文化の成熟と軌を一にして発展。明治維新後、初めて女子の職業として公認され、束髪などの洋髪や、美顔術、パーマネント・ウエーブなどの欧米技術の移入により、しだいに「髪結い」から近代的な「美容師」へと脱皮していった。
[横田敏一]
美容師となるには、美容師国家試験に合格しなければならない。美容師養成施設(美容学校など)で2年以上(通信課程3年間)を卒業した者が、美容師国家試験の受験資格を得られる今日の美容師法は、1957年(昭和32)5月に制定され、それ以前の理容師美容師法から、単独の法規によって規制されるようになった。
美容師試験の内容は、筆記試験として、(1)関係法規・制度、(2)衛生管理、(3)美容保健、(4)美容の物理・化学、(5)美容理論の5課目であり、実技試験は、(1)美容の基礎的技術、(2)美容を行う場合の衛生上の取扱い、などである。以上の試験に合格した者が、厚生労働大臣名で発行される免許(美容師免許)を受け、美容を業とすることができるが、実際の美容室内での一人前の技術者となるには、なお3~5年程度の期間を要するのが普通である。男性美容師の数も増え、また海外との交流を通じての技術開発、研究も盛んになっている。
[横田敏一]
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…そうした制度をインターンシップinternshipといい,その研修生をインターンと呼ぶ。一般には医師の場合を指して用いられることが多いが,同様の制度は美容師,理容師の場合にも見られる。医師の場合,第2次大戦後アメリカにならって,大学医学部卒業後1年間,大学病院や認定された教育病院で,臨床の実地修練を積んだのちに,はじめて国家試験の受験資格が与えられる制度が始まった。…
…明治維新後はじめて公然たる職業として自立したが,以後昭和初期までは比較的収入の多い女子職業とされ,〈髪結の亭主〉といった言葉も生まれた。やがて洋髪の普及,欧米の美容技術の導入とともに美容師の呼称が一般化し,第2次大戦後,理(美)容師法の施行(1948)によって美容師は公称となった。今日ではいわゆる〈日本髪〉を結う髪結は,芸妓などごく一部の婦人を対象とするのみで,その数は激減した。…
… なお美容の歴史については〈髪形〉〈髪結〉〈化粧〉ほかの項目を参照されたい。
[美容師と美容院]
美容を業とする美容師は,江戸中期にまず上方ではじまった女髪結から出発しているが,明治末にはいわゆる日本髪を手がける髪結と,新時代に即応した束髪と美顔術を主として営業する者とに分かれた。これらの美容業が正業として認められるようになったのは,1901年の警視庁令〈理髪営業取締規則〉の対象になってからで,理髪は理容と結髪(美容)を含んでいた。…
※「美容師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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