床山(読み)トコヤマ

デジタル大辞泉 「床山」の意味・読み・例文・類語

とこ‐やま【床山】

歌舞伎などで、興行中楽屋に詰めて、俳優の使用するかつらの結髪・修理・保管その他一切を扱う人。昔は俳優自身の髪を結った。
相撲で、力士のまげを結うことを業とする人。
[類語]理容師床屋髪結い美容師

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精選版 日本国語大辞典 「床山」の意味・読み・例文・類語

とこ‐やま【床山】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 歌舞伎劇場の楽屋内で俳優の髪を結ったり、かつらの手入れをしたりする人。また、その部屋。歌舞伎以外の演劇映画テレビなどでもいう。〔戯場訓蒙図彙(1803)〕
    1. 床山<b>①</b>〈戯場訓蒙図彙〉
      床山〈戯場訓蒙図彙〉
  3. 力士の髪を結う人。
    1. [初出の実例]「場所内に居る髪結を特に『床山』といふが今は十三人あって」(出典:相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉相撲噂の種)

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改訂新版 世界大百科事典 「床山」の意味・わかりやすい解説

床山 (とこやま)

俳優が舞台などで用いる(かつら)を結う者。演劇,映画,テレビなどでは鬘師の作った鬘を,それぞれの役に合わせた形に結いあげ,俳優にかぶせる,はずす,保管するなどの役目をする。また力士の髪結いも床山と呼ばれる。歌舞伎では興行中毎日出勤し,男方,女方それぞれが専門に分かれている。昔は男方床山を〈三階〉,女方床山を〈中二階(ちゆうにかい)〉と呼び仕事場の床山部屋も厳密に分かれていた。現在も原則として分業である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「床山」の意味・わかりやすい解説

床山
とこやま

演劇に従属する職業の一つで、俳優が舞台で使う鬘(かつら)を取り扱う専門家。歌舞伎(かぶき)で始まった職分で、新派その他の演劇にも名称が普及した。正確には鬘の扱いは「鬘屋」と「床山」に分かれ、歌舞伎を例にとると、鬘屋が俳優の頭にあわせ「台金(だいがね)」という土台の枠をつくり、これに毛髪を植え付けるまでの作業を行い、床山はこれを役柄に応じて各種の形に結い上げ、興行中も劇場の楽屋内の「床山部屋」に詰めていて、毎日開演の直前にそれぞれの鬘を俳優の頭に取り付け、終演後は修理と保管を行う。歌舞伎では立役(たちやく)専門と女方(おんながた)専門に分かれているのが原則で、江戸時代は俳優自身の髪を結い、月代(さかやき)や髭(ひげ)を剃(そ)ることも仕事とした。なお、相撲(すもう)界とも交渉があったので力士の髪を結う床山が生まれ、現在も専門家の職分として行われている。

[松井俊諭]

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百科事典マイペディア 「床山」の意味・わかりやすい解説

床山【とこやま】

演劇用語。俳優の髪を結い(かつら)を整える職。鬘屋の作った鬘を役柄に応じて結い上げるとともに,その保管・整理も行う。なお,相撲界でも力士の髪を結う者を床山と呼ぶ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「床山」の意味・わかりやすい解説

床山
とこやま

劇場で俳優のつけるかつらを結う職をいう。また,相撲界では力士の髪を結う職をさす。

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世界大百科事典(旧版)内の床山の言及

【鬘】より

…これが明治初年にはいっそう写実化されて今日の歌舞伎の鬘が完成した。 鬘を作るのは鬘師で,結いあげ形をつける床山(とこやま)とは完全に分業である。鬘師は薄い銅板を,男方,女方の原型によってだいたいの頭形に丸みをつけ,これを俳優の頭に合わせ,漆を塗って焼き,黒みをつけて〈さび〉を防ぐ。…

※「床山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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