言語学の用語。語根や語幹に後接して語幹や単語を形成する。接尾辞と呼んでもよい。これには,それがつくと語幹(もしくは無活用の単語)が形成されることになる派生語尾と,単語の活用形が形成されることになる活用語尾とがある。派生語尾には常になんらかの意味が伴うといえるが,活用語尾にはなんらかの意味を伴うものとそうでないものがある。たとえば,日本語のkawakasanai(乾かさない)は,語根kawak-に派生語尾-as-がついてkawakas-という語幹が形成され,さらに活用語尾-a-がついて活用形ができ,付属語-naiがさらにつづいているといえる(1モーラを全体として扱い,その内部で切り離すことをしない考え方では,kawa-,-ka-,-sa-,-naiと分析する)が,-as-はある種の意味を伴い,-a-は伴わないといえる。しかし,kawakaseの活用語尾-e(または-se)は,意味を伴っている。派生語尾は,その単語の文法的機能を決定することも多い。たとえば,amai〈甘い〉のama-に-saという派生語尾がつくとamai(形容詞)とは異なる機能(名詞としての機能)をもつようになる。なお,派生語尾がついてできあがった語幹や単語が長い時間を経過すると,その語尾の意味が不明瞭になり,語尾といえるかどうかわからなくなる場合もある。なお,接尾辞は語幹または語根の前に付着する接頭辞,真ん中に割ってはいる接中辞などとともに接辞と総称する。
執筆者:湯川 恭敏
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用語や助動詞が語形を変えて種々の用法を示すとき、変化する部分を活用語尾、または単に語尾という。たとえば、「毎朝新聞を読む」と「新聞を読め!」との用法の違いは、「―む」「―め」という語尾の違いによって示される。語尾に対し、不変化の部分が語幹とよばれる。どこで語幹と語尾を分けるかは、研究者の考え方や整理の仕方で変わってくる。仮名で分析すれば、「読む」の語尾は「―み」「―む」などであるが、ローマ字で分析すれば、「(yom)―i」「(yom)―u」などとなる。
文語形容詞の場合、たとえば「美し」では、不変化の部分は「うつくし」であるが、それを語幹とすると終止形の語尾がなくなるので、「うつく」を語幹とし、「(美)し」「(美)しき(人)」などを語尾とする。なお、「さかや(酒屋)」「あまがさ(雨傘)」などの場合は、「さけ」「あめ」の語尾変化とはせず、語基の変化と考える。
[鈴木英夫]
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