( 1 )室町後期頃に「あがなふ」が用いられるようになり、近世になると「あがふ」を使う例は稀になる。
( 2 )「あがふ」「あかふ」の清濁について、挙例の「万葉‐四〇三一」は大伴家持の作であるが、家持は「賀」字を清音に使用する傾向があった。「観智院本名義抄」では「贖」字の訓「アカフ」に付された声点が一つなので、平安末頃まで第二音節は清音と考えられる。「倭玉篇」諸本また「字鏡抄」「字鏡集」や抄物でも第二音節に濁点の施された例を見ず、中世も清音であった可能性が高い。
「あかう」から派生した語で、「うらう」⇔「うらなう」、「あざう」⇔「あざなう」などの動詞がこの派生に影響を与えたと推測される。→「あがう」の語誌
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