金田一春彦(読み)キンダイチハルヒコ

デジタル大辞泉 「金田一春彦」の意味・読み・例文・類語

きんだいち‐はるひこ【金田一春彦】

[1913~2004]言語学者・国語学者。東京の生まれ。京助長男音韻史を専門とし、日本語アクセント方言に関する研究ですぐれた業績を残した。著「日本語」「日本語音韻の研究」「十五夜お月さん」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金田一春彦」の意味・わかりやすい解説

金田一春彦
きんだいちはるひこ

[生]1913.4.3. 東京
[没]2004.5.19. 山梨
国語学者。言語学者金田一京助の長男。旧制高校時代音楽に興味をもち一時作曲家を志したが,断念して東京帝国大学国文科に進学,音楽修業中に興味をもった日本語のアクセントについて研究する。名古屋大学,東京外国語大学,上智大学などで教鞭をとりながら,おもに日本語の音韻について研究を続け,アクセントの歴史的変化の分析や体系化,方言の調査分析と系統化などで業績を残す。こうした研究が実際に犯罪捜査で参考にされたことなどがあって,その人柄とともに研究,著作が学術界にとどまらず広く一般に知られた。邦楽童謡についても造詣が深く,平曲の研究家として平家琵琶の譜の読み方,奏法,歴史などを解明。童謡や唱歌の普及にも尽力した。おもな著作に『日本語』 (1957) ,『日本語音韻の研究』 (1967) ,『国語アクセントの史的研究原理と方法』 (1974) ,『日本語方言の研究』 (1977) ,『十五夜お月さん-本居長世人と作品』 (1983。芸術選奨文部大臣賞,毎日出版文化賞受賞) ,『平曲考』 (1997) ,などがある。また,『国語大辞典』,『新明解国語辞典』,『日本語大百科事典』など多数辞書編纂にも携わった。国語学会代表理事,国語審議会委員,NHK放送文化研究所用語委員などを歴任。 1997年文化功労者。

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百科事典マイペディア 「金田一春彦」の意味・わかりやすい解説

金田一春彦【きんだいちはるひこ】

国語学者・言語学者。東京都生れ。言語学者金田一京助の長男。東京帝国大学(現,東京大学)文学部国文学科卒業。大学在学中に,助教授であった父京助のアイヌ語講義を受けたという。東京府立第十中学(現,都立西高校)の国語教師などを経て,東京外国語大学教授,上智大学教授,武蔵野女子大学(現,武蔵野大学)客員教授などを歴任,国語学会代表理事,日本琵琶楽協会会長も務めた。方言アクセント研究の第一人者で,辞書の編集や国語の知識普及にも尽力した。音楽研究も行い,《十五夜お月さん―本居長世(もとおりながよ) 人と作品》で1982年度芸術選奨文部大臣賞を受賞し,1997年には文化功労者主著に《四座講式の研究》《日本語音韻の研究》《日本語》《平曲考》などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「金田一春彦」の解説

金田一春彦 きんだいち-はるひこ

1913-2004 昭和-平成時代の国語学者。
大正2年4月3日生まれ。金田一京助の長男。名大助教授などをへて昭和34年東京外大教授。49年上智大教授。のち武蔵野女子大,玉川大の客員教授。音韻史を専門とし,日本語のアクセントの史的研究をすすめた。邦楽,童謡にも造詣がふかく,58年「十五夜お月さん」で毎日出版文化賞。平成9年文化功労者。平成16年5月19日死去。91歳。東京出身。東京帝大卒。著作に「日本語」「日本語音韻の研究」「平曲考」など。

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