戦国時代の武将。大内義隆(よしたか)の重臣。興房(おきふさ)の次男。初名は隆房(たかふさ)。周防(すおう)国都濃(つの)郡富田(とんだ)の若山(わかやま)城(山口県周南(しゅうなん)市)に居城。陶氏は大内氏の一族で、室町中期から周防国守護代を世襲し、大内家重臣の筆頭に位置した。1539年(天文8)家督を相続した隆房は、40~41年毛利元就(もうりもとなり)の郡山(こおりやま)城(広島県安芸高田(あきたかた)市吉田町)を包囲した尼子晴久(あまごはるひさ)を撃破して元就を救援、42~43年には尼子討伐のため出雲(いずも)(島根県)に出陣するなど勇将として活躍したが、義隆側近の相良武任(さがらたけとう)と対立を深め、しだいに義隆とも不和となった。やがて重税を課し奢侈(しゃし)にふける義隆に領国内の反感が集まると、大内家重臣の内藤(ないとう)・杉(すぎ)氏らを味方に引き入れて、義隆を隠居させ嫡子義尊(よしたか)を擁立する謀反の計画を進め、50年毛利元就にも援助を求めた。その後計画を変更し、51年義隆父子を殺害すると、豊後(ぶんご)(大分県)の大友義鎮(おおともよししげ)の弟晴英(はるふさ)(義長(よしなが))を迎えて大内家を相続させ、実権を掌握し、晴英の諱(いみな)を受けて名を晴賢と改めた。また瀬戸内海の要衝厳島(いつくしま)を統制下に置き商業の繁栄を図ったが、54年毛利元就に背かれて厳島を占領され、55年(弘治1)10月厳島で元就と戦い、敗れて自刃した。この2年後、大内領国も元就に平定された。広島県廿日市(はつかいち)市の洞雲(とううん)寺に首塚がある。
[舘鼻 誠]
『福尾猛市郎著『大内義隆』(1959・吉川弘文館)』▽『米原正義著『大内義隆』(1967・人物往来社)』▽『河合正治著『瀬戸内海史上における厳島合戦』(『中世武家社会の研究』所収・1973・吉川弘文館)』▽『近藤清石著『大内氏実録』(1974・マツノ書店)』
(佐伯弘次)
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戦国時代の武将。興房の次男。初名隆房。通称五郎。中務大輔,尾張守。1539年(天文8)父の跡を継いで大内義隆の重臣となり,周防守護代。翌年尼子晴久が毛利元就の安芸郡山城を囲むと,大内軍の総大将として救援に赴き,尼子軍を撃退した。さらに出雲遠征を主張,42年義隆の出陣を促して尼子氏の富田城を囲んだが,翌年敗退した。その後,側近相良武任を重用して文治に傾く義隆との関係が悪化した。51年内藤氏,杉氏らの大内氏重臣をさそって山口でクーデタを起こし,義隆を深川大寧寺に自殺させた。翌年大友義鎮の弟晴英(義隆の甥)を大内氏当主に迎えて義長と名のらせ,みずから実権を掌握した。そのころ,晴英の偏諱(へんき)をうけて晴賢と改名,また剃髪して全薑(ぜんきよう)と号した。54年抵抗する吉見正頼の石見三本松城を包囲中,毛利元就が反晴賢の態度を鮮明にしたため,翌年大挙して安芸に侵入,厳島を占拠したが,10月元就の奇襲により大敗を喫して自殺した(厳島の戦)。
執筆者:加藤 益幹
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1521~55.10.1
戦国期の武将。初名隆房。1539年(天文8)家督をつぐ。大内義隆が学問・芸能に熱中するのを不満とし,義隆側近の相良武任(たけとう)との対立をへて,しだいに義隆排除の計画をめぐらすようになった。51年周防国山口に義隆と交際相手の公家らを襲い,義隆は長門国深川(現,山口県長門市)の大寧寺にのがれたのち自殺。計画どおり大友義鎮(よししげ)(宗麟)の弟晴英(義長)を擁立,その1字をえて晴賢と改名,大内氏の実権を握った。しかし53年石見の吉見正頼の反抗をきっかけに,翌年毛利元就(もとなり)が反抗。55年陶・毛利両軍は安芸国厳島(現,広島県廿日市市宮島町)で激突,晴賢は敗死。
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…1555年(弘治1)毛利元就が,安芸国厳島に進駐した陶晴賢(すえはるかた)を討った戦い。これ以後毛利氏の中国地方制覇の道がひらかれる。…
※「陶晴賢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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