デジタル大辞泉
「麝香」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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じゃ‐こう‥カウ【麝香】
- 〘 名詞 〙
- ① ジャコウジカの雄の下腹部にある鶏卵大の包皮腺(香嚢)から得られる香料。紫褐色の顆粒で芳香がきわめて強く、強心剤、気つけ薬など種々の薬料としても用いられる。四味臭(しみしゅう)。じゃ。紫麝。麝香のへそ。ざこう。
- [初出の実例]「合麝香壱斉又壱筒」(出典:大安寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747))
- 「麝香の香に染返たり」(出典:今昔物語集(1120頃か)二七)
- [その他の文献]〔王建‐宮詞一百首・一六〕
- ② 「じゃこうじか(麝香鹿)」の略。〔色葉字類抄(1177‐81)〕 〔後漢書‐西南夷伝〕
- ③ 「じゃこうねこ(麝香猫)」の略。
- [初出の実例]「毛益麝香絵四幅、海門和尚私被二進上一」(出典:蔭凉軒日録‐永享八年(1436)五月三〇日)
麝香の補助注記
①は、中国で古くから医薬、仙薬として用いられ、日本にも早くに伝わった。
ざ‐こう‥カウ【麝香】
- 〘 名詞 〙 麝香鹿(じゃこうじか)の麝香嚢から作った香料。じゃこう。
- [初出の実例]「いろいろの香(かう)は、色をつくして、ざかう・ぢん・丁字」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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麝香 (じゃこう)
musk
ムスクともいう。中央アジア,チベット,雲南,アッサム,南シベリアに広く生息するジャコウジカの雄の包皮腺(香囊)に蓄積される有香物質。古来代表的動物性香料として珍重された。10歳程度の雄1匹から約50gの麝香が得られる。チベット産の麝香が品質的に最も優れており,トンキン(東京)市場で取引されるため東京麝香として知られている。雲南麝香も有名である。乾燥した香囊中には暗褐色ないし黒褐色の粉末として存在する。水,アルコールに易溶で,アルコールチンキにしても使用される。芳香成分はムスコンmusconeで,麝香中に0.5~2%含有される。ムスコンは化学式C16H30O,大環状ケトン構造をもつ。

無色の油状液体で,常圧での沸点は328℃,330℃で一部分解する。分留は減圧下で行い,たとえば0.5mmHgでは沸点は130℃となる。融点-19℃,比重0.8628(17℃),nD17=1.4802。構造は1926年L.ルジチカにより解明され,以後ムスク様物質の合成の手掛りとなった。麝香は高級香料の調香・保留剤として多く用いられる。現在,麝香類似物質として大環状化合物をはじめ多くの合成品が開発されつつある。
執筆者:内田 安三
漢方
ヨーロッパでは香料としてのみ用いられ,薬用とされない。麝香は中枢神経系,とくに呼吸中枢および心臓を興奮させる作用があるので,漢方では,他の生薬と配合して意識覚醒・強心薬として昏睡,狭心症に,また鎮静・排膿・解毒薬として神経衰弱,打撲,心腹痛,その他危急の症に応用する。家庭薬原料(六神丸,奇応丸など)として用途が広い。
→人造麝香
執筆者:新田 あや
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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麝香【じゃこう】
ムスクとも。ジャコウジカの雄の嚢状の包皮腺分泌物を乾燥した黒褐色の粉末。古来香料,医薬として珍重。雄1頭から約50gが得られる。芳香成分としてムスコンを0.5〜2%含む。ムスコンは化学式C16H3(/0)Oで,大環状ケトン構造をもつ無色の油状液体。現在では麝香類以物質が合成されている。
→関連項目奇応丸|香|香料|ジャコウウシ|生薬|人造麝香|反魂丹|竜涎香|六神丸
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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麝香
じゃこう
musk
ヒマラヤ山脈,中国北部の高原地帯に生息するジャコウジカ (あるいはジャコウネコ) の雄の生殖腺分泌体。包皮小嚢状の腺嚢を乾燥した暗褐色粒状物に約1~2%程度含有される。高価な動物性香料。アルコール抽出によりムスクチンキとして高価な幻想香水だけに利用される。近年,希少動物保護の立場から香科用目的の捕獲は制限されており,ほとんど同一の香気を有する合成香料で代用される。芳香成分はムスコン C16H30O である。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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普及版 字通
「麝香」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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