磁力探査ともいう。陸上,海上あるいは空中で地球磁場を測定し,これに基づいて地下の磁性体の分布を求め,地下の構造,岩質,資源などの様子を調べる物理探査の一方法。すなわち,測定磁気値から地球磁場を差し引いた磁気異常によって地下の磁性岩体の存在状態を知ろうとするものである。
地球の中心部は核(コア)と呼ばれ,鉄を主体として構成されており,核の電磁流動現象により地球が一つの巨大な磁石とみなせる時間的にほとんど変化しない磁場をつくっている。このほかに磁気あらしや日変化などの電離層に原因をもつ値そのものは小さいが時間的に変化する変動磁場があり,これらが地球磁場を形づくっている。地殻を構成する岩石は,それに含まれる磁鉄鉱などの磁性鉱物の量に応じた磁性を有し,これが地球磁場により誘導磁化される。誘導磁化は岩石の形,磁性および地球磁場の強さから決まり,磁性の強弱は磁化率で示される。また,岩石は現在の地球磁場には依存しない残留磁化を有していることがある。この誘導磁化と残留磁化との合成磁化が磁気異常をつくっている。
磁場はベクトル量であるが,磁気探査では通常磁場の強さを測定しており,この測定器を磁力計という。磁力計にはいろいろなタイプがあるが,探査によく用いられているのはプロトン磁力計である。プロトン磁力計は,磁場中に置かれたプロトンの歳差運動の周期がその磁場の強さに比例するという性質を用いたものであり,航空機や船舶に搭載して精度よく磁場を測定することが可能である。磁気の強さの単位はテスラ(記号T)であり,探査においてはナノテスラ(記号nT。1nT=10⁻6T)が基本単位として用いられる。
測定磁気値より地球の核に起因する磁場および日変化等の変動磁場を差し引くと,地殻内の磁性岩体に起因する磁気異常が得られる。磁気はポテンシャル力であるため,磁性構造を与えるとそれによる磁気異常は計算により求めることができるが,逆に磁気異常からそれを発生している磁性構造は一義的には求めることができない。そのため,地質・物理探査等の既知情報を基に地下磁性構造の単純化・モデル化を行って磁気異常の解析を進める必要がある。解析方法には,磁気異常の振幅特性を利用したカーブマッチング法,周波数特性を利用したスペクトル法などがある。カーブマッチング法は,まず地下磁性構造をモデル化し,このモデル構造による磁気異常を計算する。計算磁気異常と観測磁気異常との振幅特性を比較し,差があればモデル構造を修正・変更する。このプロセスを繰り返し,両者の差が最小となるモデル構造が求める地下磁性構造となる。また,スペクトル法は,観測磁気異常のスペクトルを計算し,その周波数特性より地下磁性構造を求めるものである。この方法を拡張して,岩石がその磁性を失うキュリー温度相当深度を磁気異常から求めることも行われている。
執筆者:津 宏治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
magnetic prospecting ,magnetic survey
地下の強磁性物質の分布把握や岩石磁性の差に着目した,地下構造の解明を目的として行われる磁気測量。磁力探査とも。古くは成分測定の磁力計が用いられたが,プロトン磁力計の出現によって全磁力測定が非常に簡便かつ高精度に行えるようになり,航空機・船舶に搭載した移動しながらの測定も大きく発展した。探査に際しては,通常,調査区域近傍の定点で連続観測を行い,移動観測との差をとって磁場の経時変化を補正し,磁気異常分布を抽出する。一方,土木の分野では,誘導コイルを用いた傾度計による計測が,不発爆弾探査を中心に広く活用されている。掘削孔による磁気探査は磁気検層という。
執筆者:中塚 正・森 直樹
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→物理探査
…しかしながら,この推定を確かめたり,さらに深いところの状態を推定するためには,他の方法を用いなければならない。(1)物理探査 いろいろな地球物理学的手法を用いて行う調査方法であり,主として利用する物理量の違いによって方法が異なり,それぞれ,地震探査,重力探査,磁気探査,電気探査,放射能探査,地温探査,物理検層などと呼ばれている。(a)地震探査 地下の岩石や地層の中を波動として伝搬する弾性波の速度を測定することによって,地下構造を明らかにする調査で,古くから,自然発生地震によって地球の内部構造,とりわけ地殻やマントル上部の構造を明らかにするために用いられてきた方法である。…
※「磁気探査」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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