里親(読み)さとおや

精選版 日本国語大辞典 「里親」の意味・読み・例文・類語

さと‐おや【里親】

〘名〙
他人の子を里子としてあずかった人。他人の子供をあずかって、親がわりとなって世話をする人。しとね親。そだて親。
※歌舞伎・盟三五大切(1825)大詰コレ、里親(サトオヤ)のかみさん、婆アを云はねえものだ」
児童福祉法に基づき、都道府県知事委託をうけて保護者のない児童などを引き取って養育する人。
※児童福祉法(1947)二七条「三、児童を里親〈略〉若しくは保護受託者〈略〉に委託し」

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デジタル大辞泉 「里親」の意味・読み・例文・類語

さと‐おや【里親】

他人の子供を里子として預かり、養育する親。しとね親。育て親。
児童福祉法に基づき、保護者のない児童や、保護者に任せることが不適当であると認められる児童を引き取り、養育する者。都道府県知事が委託する。
ペットを、元の飼い主から引き受けて飼う人。「猫の里親募集」
[類語]両親二親父母ふぼ父母ちちはは親御親元実の親生みの親・実父母・継父母継親ままおや仮親養父母養親養い親育ての親・育て親・名付け親片親

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百科事典マイペディア 「里親」の意味・わかりやすい解説

里親【さとおや】

他家へ養育を委託された子を里子(さとご),養う者を里親(さとおや)という。養子縁組とは異なり,私法上の身分関係を発生させない。古来公家武家子女を母の里方で養育,近世には三都(江戸・大坂・京都)の町家でも手習いごろまで近郊に里子に出す例があった。これは乳母(うば),子守(こもり)と同様,余裕のある家の養育法だが,江戸時代には乳児(ちご)買といって里子周旋を業とする者が出現した。明治時代には警視庁などで捨子,迷子を里子に世話した。1947年児童福祉法に基づく要保護児童対策として,保護者のない児童または保護者の監護が不適当と認められる児童を養育する公的里親制度が確立した。里親となることを希望する者は都道府県知事の認可を要し,必要経費は都道府県が支弁する。1974年からは短期里親を促進するために補助金が出されている。児童福祉法の手続を経ずに,私的に子どもの養育を第三者に委託することも行われている。いずれも法的に不明確な点が多い。類似の制度として,障害者を預ける家庭養育預宅制度,教育里親制度などがある。→職親
→関連項目ホスピタリズム

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世界大百科事典(旧版)内の里親の言及

【里親制度】より

…子の保護を目的とする制度のなかで,施設へ通う型,施設養育型とならぶもの。子を家庭で養護する点は養子制度と似ているが,里親里子間に法的親子関係は発生しない。里子
[沿革]
 明治初年より捨子,孤児など保護を必要とする子は,行政機関により家庭に委託養育されていた。…

【里子】より

…子どもを他家へあずけて養わせることを里子に出すといい,養育する側を里親という。里子・里親の制度は古く,京都の公卿社会では,幼年の間だけ近郊の農家へ里子に出す風習があった。…

※「里親」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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