福島県東部の地域名。福島県を地勢をもとに東から浜通り,中通り,会津地方の3地域に分けた場合の地域名の一つで,古くから関東から東北地方への通路である浜街道が通っており,その街道の通過する周辺地域としてこの名称が用いられる。浜海道,東(ひがし)海道,海道とも称した。現在,交通路としては国道6号線とJR常磐線が通じている。西部は阿武隈高地の東半部,東部は浜通り低地帯で,東は太平洋に臨む。全般的に,降水量は夏に多く冬に少ない太平洋側気候で,特に低地帯は中通り,会津地方と比較して夏涼しく冬温暖であり,県内で暖帯照葉樹林のみられるのはこの低地帯だけである。行政的には,いわき,相馬,南相馬の3市が含まれ,面積,人口とも県のほぼ1/4を占める。
この地域の南部はかつて常磐炭田で栄え,現在は小名浜(おなはま)港を核とする臨海工業地帯をもっている。郡部の低地では水田農業が盛んだが,近年,臨海部に大型の原子力発電所や火力発電所がつくられ,電源地帯となっている。
執筆者:大澤 貞一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
福島県東部の太平洋沿いの地域の呼称。いわき、南相馬(そうま)、相馬の3市と双葉(ふたば)、相馬の2郡の範囲。古くは東海道(ひがしかいどう)、浜海道といい、関東と陸奥(むつ)を結ぶ廊下的役割をなした。西から阿武隈(あぶくま)高地、丘陵、台地、沖積地となり西高東低の地形を示す。気候は中通り、会津に比して温暖である。交通はJR常磐(じょうばん)線、国道6号がほぼ並行して走る。また常磐自動車道が双葉郡富岡(とみおか)町までと、南相馬―相馬間が通じている。北部は農業が中心であるが、中央部から南部にかけては沿岸部に原子力発電所が建設され、いわき市を中心に工業も盛ん。面積は県全体の約22%、人口は約27%(2010)を占める。
[原田 榮]
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