うっとり(読み)ウットリ

デジタル大辞泉 「うっとり」の意味・読み・例文・類語

うっとり

[副](スル)
美しいものなどに心を奪われて、ぼうっとしているさま。また、気抜けしたさま。「音楽うっとりと聞きほれる」「うっとり(と)したまなざし
「好い加減に頭が疲れて、皆―した心持になって黙って了う」〈風葉青春
気を失うさま。
迷倦めくらみを覚え、―として路傍に昏睡し」〈青木輔清訳・万国奇談〉
[類語]恍惚酔う酔いれるひた陶酔する陶然とろけるしびれる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「うっとり」の意味・読み・例文・類語

うっとり

[1] 〘副〙 (「と」を伴う場合が多い)
① 心を奪われ、ぼうっとしているさまにいう。
(イ) あっけにとられているさま。また、気抜けしたさま。ぼんやりとして気の付かないさま。呆然。
※天理本狂言・千鳥(室町末‐近世初)「米は今まいらうが、爰にうっとりとして、いらるる物かと云」
(ロ) 美しいもの、快いものなどに心を奪われているさま。恍惚(こうこつ)
※俳諧・鷹筑波(1638)三「こぬをまつ我ぞうっとり郭公〈正親〉」
洒落本・青楼夜世界闇明月(1789‐1801)数有間勤傾契「このうたに聞きとれ、ふたりうっとりとしてゐるところへ」
② 意識を失うさまにいう。朦朧(もうろう)
※歌舞伎・貞操花鳥羽恋塚(1809)五立「夜の殿が穴とも知らず、尾籠な事を致した麁相(そさう)、それからウットリとなって、その跡はとんと覚えませぬ」
[2] 〘名〙 ぼんやり者。まぬけ。うっとり者。
咄本醒睡笑(1628)一「『例のうっとりぞ。焼塩ばかりにてよし』とて膳をすゑけるに」

うっとり

〘名〙 金工技法一つ素地の彫刻絵模様に、金、銀などを薄くはめこむこと。金着(きんきせ)一種古くから行なわれ、江戸以前のものに多く見られる。

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