エゾビタキ（その他表記）Muscicapa griseisticta; grey-streaked flycatcher

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

エゾビタキ
Muscicapa griseisticta; grey-streaked flycatcher

スズメ目ヒタキ科。全長 13～15cm。ヒタキの仲間特有の直立姿勢で枝に留まる羽色の地味な小鳥。頭，背，翼上面，尾は灰褐色で，翼に細い白帯がある。腹は白いが，胸，脇には白色地に灰褐色のかなり目立つ縦斑が密にある。眼輪は白く，目先はくすんだ白色で，嘴と脚は黒い。シベリア南東部，サハリン島，カムチャツカ半島南部，中国東北地方などの針葉樹林で繁殖する。渡り鳥で，越冬地はフィリピンからボルネオ島，インドネシア東部，ニューギニア島に及ぶ。昆虫食で，枝から飛び出して捕まえ，元の枝に戻って食べる。地面におりることはない。日本では北海道東部と東北地方北部で繁殖記録があるが，おもに渡りの時期に通過する旅鳥である。秋の渡りの時期には各地の平地の明るい林，樹木の散在する公園や庭などによく見られる。越冬地でも森林のほか林縁，樹木の散在する林，公園などに生息する。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

日本大百科全書(ニッポニカ)

エゾビタキ
えぞびたき / 蝦夷鶲
grey-spotted flycatcher
[学] Muscicapa griseisticta

鳥綱スズメ目ヒタキ科ヒタキ亜科の鳥。全長約14センチメートル。灰褐色のじみな姿で、空中で昆虫をとらえるヒタキ型の採食法をとる。アジア東部の針葉樹林で繁殖し、フィリピン、ニューギニア島で越冬。春秋の渡りの途中に日本を通過し、とくに秋は大群がみられる。

［竹下信雄］

[参照項目] | ヒタキ

エゾビタキ〔標本画〕

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)