日本民謡の一つ。「おけさ見るとて葦(よし)で眼(め)をついた」とか「おけさ正直なら」といった歌詞があり、「おけさ」とは、江戸時代後期に新潟県出雲崎(いずもざき)町あたりにいた船乗り相手の酌婦の名前である。その「おけさ」なる女性を詠んだ歌詞で歌う越後(えちご)の『おけさ節』は、地元の甚句(じんく)の節にのせて歌うものであった。ところが江戸後期、九州・天草の熊本県牛深(うしぶか)(天草市)生まれの酒盛り唄『ハイヤ節』が船乗りたちによって諸国の港へ持ち回られ、越後では新潟や出雲崎の港へ伝えられた。すると越後の人たちは、在来の『おけさ節』の歌詞はそのまま生かし、節のほうを流行の『ハイヤ節』に取り替えてしまった。言い換えれば、『ハイヤ節』の歌詞が不足しているので、在来の『おけさ節』の歌詞を利用したのである。それが越後の花柳界で育てられ、『新潟おけさ』『寺泊(てらどまり)おけさ』『出雲崎おけさ』『三条おけさ』『柏崎(かしわざき)おけさ』など多種多様の「おけさ節」に発展していった。なお「おけさ」というとすぐ佐渡(さど)島の『佐渡おけさ』を思い浮かべることが多いが、これは1906年(明治39)ごろ越後側の「おけさ」の人気にあやかって改名したもので、「おけさ」の本場は越後側である。
[竹内 勉]
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