カワウ(その他表記)Phalacrocorax carbo; great cormorant

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カワウ」の意味・わかりやすい解説

カワウ
Phalacrocorax carbo; great cormorant

カツオドリ目ウ科全長 80~100cm。頭上から頸,胸,腹,尾は黒く,背と暗褐色。眼の先や下,の基部は黄色の皮膚が裸出し,その周囲の羽毛白色繁殖期には頭と上頸に白色の生殖羽(→羽衣)が多数生じ,腿部に大きな白斑が現れる。分布ユーラシア大陸のヨーロッパから東アジアにかけての南部,オーストラリア北アメリカ東部,グリーンランド西部,アフリカ北部など広い。湖沼河川,沿岸海域などで生活し,潜水しておもに魚類をとる。集団繁殖し,日本ではおもに樹上に巣をつくるが,地面の上につくる地域もある。繁殖期は生息地により異なり,アフリカでは周年にわたって繁殖する。日本では生息数が 1960~70年代に 3000羽ほどに減少し,集団営巣地青森県,東京都台東区上野の不忍池,愛知県知多半島の鵜の山(国の天然記念物),大分県など数ヵ所に存在するのみであったが,1980年代頃から増加に転じ,各地で内水面漁業などに被害をもたらしている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワウ」の意味・わかりやすい解説

カワウ
かわう / 河鵜
common cormorant
[学] Phalacrocorax carbo

鳥綱ペリカン目ウ科の鳥。全身黒褐色、全長82センチメートル、翼開長129センチメートルに達する大形の海鳥で、潜水して魚類をとらえる。北大西洋オセアニア亜種は沿海性で、ユーラシア温帯域のものは内陸湖沼、内湾性である。日本では内湾埋立てなどによって1960~1970年代に急速に数が減ったが、その後は増加傾向にある。

[長谷川博 2019年1月21日]


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百科事典マイペディア 「カワウ」の意味・わかりやすい解説

カワウ

ウ科の鳥。翼長33cm。全身黒色。繁殖期には頭部に白い羽毛が生ずる。ユーラシア,アフリカ,オセアニア,北米まで広く分布。日本では本州と九州で繁殖し,四国では冬に見られる。海岸や河川,湖沼などの水辺にすみ,集団繁殖する。水中に潜るのが得意で,おもに魚を食べる。カワウの集団営巣地は一時減ったが,現在では15ヵ所ほどに3万羽以上がいるとされる。冬も繁殖するのが特徴。
→関連項目ウ(鵜)

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世界大百科事典(旧版)内のカワウの言及

【ウ(鵜)】より

…日本には4種が繁殖する。カワウP.carbo(イラスト)は世界に広く分布し,かつては日本でも大きな内湾,湖沼で数多く繁殖していたが,開発によってすみ場所を奪われ近年著しく減少した。ウミウP.capillatus(イラスト)は日本近海の特産で,鵜飼いに使われる。…

※「カワウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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