キアシシギ(英語表記)Tringa brevipes; grey-tailed tattler

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キアシシギ」の意味・わかりやすい解説

キアシシギ
Tringa brevipes; grey-tailed tattler

チドリ目シギ科。全長 23~27cm。夏羽(→羽衣)では頭上,背,上面は褐色みを帯びる灰色で,顔から胸部白色地に褐色を帯びる灰色縦斑が密にある。腹部は白く,脇には灰褐色の横斑がある。冬羽や幼鳥羽は下面が淡い灰色で,斑が不鮮明になる。脚は黄色,黒色で長い。シベリア東部からカムチャツカ半島あたりまでのロシア極東北部と,エニセイ川河口流域の一部に繁殖分布し,フィリピンマレー諸島スラウェシ島ニューギニア島オーストラリアなどで越冬する。日本には,春秋渡りの時期に渡来し,各地の海岸,干潟,河原,水田などに見られる。「ぴゅいー,ぴゅいー」と口笛のような声で鳴く。なお,姿のよく似るメリケンキアシシギ T. incana は日本には旅鳥または冬鳥(→渡り鳥)としてまれに渡来する。見分け方は,メリケンキアシシギのほうが少し大きく,鳴き声が「ぴりぴりぴり」と連続することである。(→渉禽類

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改訂新版 世界大百科事典 「キアシシギ」の意味・わかりやすい解説

キアシシギ
Asiatic wandering tattler
Tringa brevipes

くちばしもあしもそう長くない中型のチドリ目シギ科の鳥。あしが黄色いのでこの名がある。アナディル地方,バイカル湖の北方,カムチャツカ半島の山地などで繁殖し,冬は大スンダ列島,オーストラリアなどに渡る。日本には旅鳥として春と秋に渡来し,海岸や河口の干潟,川岸や川の中州,海岸の堤防や岩場,海岸近くの水田などにすみ,数は多い。全長約25cm。体の上面は灰褐色で,眉斑(びはん)は白色,体の下面は白くて胸から脇に灰黒色の横斑がある。くちばしは少し長くてまっすぐ,あしはシギ類としては短い。水ぎわや浅水中を歩いて甲殻類ゴカイトビムシなど動物質の餌をあさり,ときには尾を上下に振ることもある。ピュイ,ピュイと口笛のような声で鳴き合うが,ピュイーと鳴くこともある。1959年に初めてシベリアで巣と卵が発見された。地上に皿形の巣をつくり,1腹4卵を産む。近縁種にアラスカで繁殖するメリケンキアシシギT.incanaがあり,ときにはキアシシギと同一の種とされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キアシシギ」の意味・わかりやすい解説

キアシシギ
きあししぎ / 黄足鷸
Asiatic wandering tattler
[学] Tringa brevipes

鳥綱チドリ目シギ科の鳥。シベリア東部で繁殖し、冬は南へ渡る。日本には旅鳥として訪れる。全長約25センチメートル、翼長約16センチメートル、体の上面は灰褐色で眉斑(びはん)は白く、体の下面は白色で夏羽には褐色の横斑がある。足は名のとおり黄色である。海岸や河口の干潟や三角州、入り江、水田、川岸や中州などにいて、数十羽の群れをつくることもある。小魚、ゴカイ、カニ、貝などを食べる。ほかのシギと混群をつくる場合もある。ピューイピュイと澄んだ声で鳴く。

[高野伸二]


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