ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キンクロハジロ」の意味・わかりやすい解説
キンクロハジロ
Aythya fuligula; tufted duck
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カモ目カモ科の鳥。全長約44cm,雌はやや小さい。ユーラシア大陸の亜寒帯以北で繁殖し,冬はヨーロッパ中南部,アジア南部などで越冬する。日本では北海道で少数が繁殖しているが,大部分は冬鳥として渡来し,全国の湖沼,池,河川など淡水の場所に多く見られる。餌は貝類,小エビなどの甲殻類,水生昆虫類,小魚類など動物質が多いが,植物の芽や葉も食べる。巣はヨシやイグサなどの生えた沼の水ぎわ近くにつくり,1腹8~10個の卵を産む。抱卵期間は23~26日,雛は孵化(ふか)後しばらくすると泳ぐことができる。マガモのような水面ガモ(淡水ガモ)類の雛は危険にあうと列をつくり親のあとを追って逃げるが,キンクロハジロなどの潜水ガモ(ハジロガモ)類では放射状に逃げる。雄では体は,わき,腹が白色で他は黒色。頭部は紫光沢をもち,後頭にはっきりした冠羽がある。雌は黒褐色で,わき,腹は褐色。眼は金色。キンクロハジロの名は金色の眼をした体が黒いハジロガモを意味するものと思われる。
執筆者:柳沢 紀夫
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鳥綱カモ目カモ科の鳥。ヨーロッパからシベリア、樺太(からふと)(サハリン)、日本では北海道釧路(くしろ)の塘路(とうろ)湖で繁殖が知られ、冬鳥として淡水湖沼、半塩水域、さらに瀬戸内海の沿岸にも渡来し、普通にみられる種である。また南は台湾、小笠原(おがさわら)諸島、さらに南洋諸島まで達するものがある。潜水して底生の動植物質を食べる。雄の成鳥は全長43.5センチメートル、頭部に紫緑色の光沢があり、後頭には豊かな冠羽の束が垂れている。胸と背は黒色、わき羽がひょうたん形の純白で、黒白の美しい羽色をしている。また翼鏡には白帯がある。嘴(くちばし)は幅広く灰青色で先端は半円状に黒く、虹彩(こうさい)は黄金色に輝く。雌は全長37.5センチメートル、全般に黒褐色で、雄よりも短い羽冠がある。雄の幼鳥は雌に似るが、わきは汚白色である。
[黒田長久]
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