さ迷う(読み)サマヨウ

デジタル大辞泉 「さ迷う」の意味・読み・例文・類語

さ‐まよ・う〔‐まよふ〕【さ迷う/彷徨う】

[動ワ五(ハ四)]
あてもなく歩きまわる。また、迷って歩きまわる。「盛り場を―・う」「奥深い山中を―・う」
1か所にとどまらず、あちこち動く。「生死の境を―・う」「雲が空を―・う」
心が安定しないでいる。判断に迷う。
「色めかしう―・ふ心さへ添ひて」〈真木柱
[補説]「さ」は接頭語というが、方向を表す「さま」に、「いさよう」「ただよう」などの「よう」のついたものとも。
[類語]さすらううろつく出歩くほっつくぶらつく徘徊彷徨ほっつき歩くほっつき回る低回流浪放浪漂泊流離漂流浮浪右往左往

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「さ迷う」の意味・読み・例文・類語

さ‐まよ・う‥まよふ【さ迷・彷徨・徘徊】

  1. 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 「さ」は接頭語 )
  2. 気持が定まらなかったり迷ったりして、あたりを歩きまわる。うろうろと歩きまわる。また単に、いったりきたりする。
    1. [初出の実例]「朝夕(あさいふ)進退(サマヨヒ)て還らむ日を佇(つまた)て待つ」(出典:日本書紀(720)景行四〇年是歳(北野本南北朝期訓))
    2. 「越より飛弾へ行とて〈略〉道もなき山路にさまよひて」(出典:俳諧・猿蓑(1691)四)
  3. はっきりとした目的もなく、あちらこちらを歩く。さすらう。流浪する。
    1. [初出の実例]「東国に(サマヨヒ)行く子あり。本の城国を別れて仮宿にふせり」(出典:海道記(1223頃)東国にさまよひ行く子)
    2. 「旅人にやつし、長崎の津にさまよひ来たりしが」(出典:読本・春雨物語(1808)樊噲上)
  4. ある場所にはっきりと固定しないで、あちこち動く。
    1. (イ) 雲や霧などがただよう。
      1. [初出の実例]「とをつ川吉野の滝をわけくれば氷ぞあわとうきてさまよふ」(出典:曾丹集(11C初か))
    2. (ロ) 一般的にいう。
      1. [初出の実例]「其声が未だ中有(ちゅうう)に徘徊(サマヨ)ってゐる内に」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)
  5. 気持、決心などが定まらないでいる。また、落ち着きがなくなる。
    1. [初出の実例]「色めかしう、さまよふ心さへそひて、もてわづらひ給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)真木柱)

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