メッケル(読み)めっける(英語表記)Klemens Wilhelm Jakob Meckel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メッケル」の意味・わかりやすい解説

メッケル
めっける
Klemens Wilhelm Jakob Meckel
(1842―1906)

ドイツ軍人。3月28日ケルンに生まれる。プロイセン陸軍大学を出て参謀将校となり、『未来の歩兵戦』『戦術学』『帥兵術』などの著書により戦術家として知られた。1885年(明治18)少佐のとき日本陸軍の軍制改革の指導のために招かれ、陸軍大学校御雇(おやとい)教師、参謀本部顧問として来日し、1888年に帰国。この間、陸大で戦略戦術の教師として長岡外史(ながおかがいし)(1858―1933)、藤井茂太(ふじいしげた)(1860―1945)など多くの参謀将校を養成するとともに、桂太郎(かつらたろう)や児玉源太郎(こだまげんたろう)が進めている近代的な軍備確立のための改革に顧問として大きな役割を果たした。日本陸軍がプロイセン陸軍の影響を受けるうえで重要な地位を占めている。帰国後は少将に進んで退役。1906年7月5日死去。

藤原 彰 2018年8月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メッケル」の意味・わかりやすい解説

メッケル
Meckel, Klemens Wilhelm Jacob

[生]1842.3.28. ケルン
[没]1906.7.5. ベルリン郊外グロスリヒテルフェルデ
ドイツの陸軍軍人。大モルトケのもとで養成され,1883年日本陸軍がドイツの兵制を採用した際,モルトケ参謀総長の推薦で,85年陸軍大学校教官として来日。当時は参謀少佐。陸軍兵術,師団編制を中心とする陸軍の編制,高等司令機関の完備,一般兵役義務制度の確立など,あらゆる分野において日本陸軍の近代化を実現させ,その後の日清・日露戦争のための基礎を築いたばかりでなく,第2次世界大戦終戦まで日本陸軍の兵術思想に大きな影響を及ぼした。 88年帰国し,メッソ連隊長,陸軍大学校教官,参謀次長をつとめ,少将で予備役に入った。

メッケル
Meckel, Christoph

[生]1935.6.12. ベルリン
ドイツの詩人,版画家。シュルレアリスム的な詩集『夢遊病者用のホテル』 Hotel für Schlafwandler (1958) のほか,版画集『戦争』 Der Krieg (60) ,『都市』 Die Stadt (60) ,小説死者マニフェスト』 Manifest der Toten (71) など。また自伝的散文作品『判じ絵-わが父について』 Suchbild.Über meinen Vater (80) は,詩人,小説家であった Eberhard Meckel (1907~69) について描いている。 1979年ライナー・マリア・リルケ抒情詩賞,82年ザルツブルク市ゲオルグ・トラークル賞受賞。

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