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アイヌ文学 アイヌぶんがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アイヌ文学
アイヌぶんがく

明治にいたるまで文字をもたなかったアイヌが,謡い,語りつつ伝承してきた,アイヌ民族固有の,アイヌ語口承文芸。他民族の文学と孤絶した,純粋の「文字のない文学」。明治 30年代になって始った金田一京助らによる採録,研究で初めて世界に紹介され,注目された。日常語でうたう即興的な抒情詩,雅語で朗唱する叙事詩,独特のリズムで語る日常語の散文 (説話) などがある。いずれも,大自然への畏敬と親しみに満ち,簡古な表現と豊かな宗教性は,文学発生の原初を思わせる。叙事詩のうち「詞曲」 (広義のユーカラ) は特に重要な伝承で,そのなかには,自然神がみずからの出自を述べる「神謡」 (カムイユーカラ) ,アイヌの始祖が天地創造,祭祀の由来などを述べる「聖伝」 (オイナ) ,英雄ポイヤウンペを主人公とするさまざまな大長編叙事詩「英雄詞曲」 (狭義のユーカラ) ,女性英雄談「婦女詞曲」 (メノコユーカラ) などがある。なかでも「英雄詞曲」はアイヌ文学を代表するもので,長いものは2万行にも及び,伝承者 (ユーカラ・クル) により昼夜を通して吟唱される。現在では口承文芸としてのアイヌ文学はアイヌ語の衰滅とともに滅びゆく運命にある。

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百科事典マイペディアの解説

アイヌ文学【アイヌぶんがく】

アイヌの伝統文化は口頭文芸の豊かな世界を育んできた。そのうち物語性を持つものには,語りの形態からみて,英雄叙事詩,神謡,散文説話の三つのジャンルがある。地域によって,英雄叙事詩はユカラ,サコロペ,ハウキなど,神謡はカムイユカラ,オイナなど,散文説話はウエペケレ,トゥイタクなどと呼ばれる。
→関連項目金成マツ

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