アサ(麻)(読み)あさ

百科事典マイペディア 「アサ(麻)」の意味・わかりやすい解説

アサ(麻)【あさ】

狭義にはタイマ大麻)をさすが,広義には綿のような種子毛繊維以外の植物性の長繊維,またはその繊維を採る植物の総称。繊維材料として重要なものには,衣料および工業用としてアマ亜麻),チョマ(苧麻,カラムシ),タイマ,包装用としてコウマ(黄麻,ジュート),綱索用としてマニラアササイザルアサなどがある。綿に比べてペクチンヘミセルロース,蝋質を多く含むため紡績段階にいたるまでの前処理が必要。アマはポリエステルとの混紡により独特の風合や強靭さの素材的メリットが生かされ,現在も需要が多い。なお商取引上,感触の差により,双子葉植物の靭皮(じんぴ)繊維を軟質繊維,単子葉植物の維管束繊維を硬質繊維と呼ぶこともある。→麻織物麻糸紡績

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アサ(麻)」の意味・わかりやすい解説

アサ(麻)
アサ
Cannabis sativa; hemp

クワ科の一年草。独立させてアサ科とすることもある。現在では熱帯温帯に広く栽培されている。草丈は 3mにも及び,稜があって茎の断面は四角形。葉は茎の下部では対生するが,上部では互生に変る。長い葉柄のある掌状複葉で,小葉は3~11枚,あらい鋸歯があり裏面に細かい毛が密生する。雌雄異株で,夏に開花する。種子は 30%ほどの油を含み,食用や鳥の飼料などに用いる。茎から繊維をとり,昔から麻糸とし,また織って布として使われている。葉や花に麻酔物質 (カンナビンなど) を含み,マリファナをつくるほか,精製して鎮静剤,睡眠薬などをつくる。特にインド産のものが含量が多い。原産地は中央アジア,あるいは旧ソ連南部あたりといわれる。中国では『詩経』などにその名称が出ている。エジプトでは前 5000年頃にすでにあったといわれ,ヨーロッパでも新石器時代には用いられていた証拠がある。日本では弥生時代の遺跡 (たとえば登呂遺跡) などから発見された。その後も麻は重要な衣料として用いられている。アマ (亜麻)ラミーと区別するため大麻 (タイマ) という。

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