水酸化カルシウム(読み)スイサンカカルシウム(その他表記)calcium hydroxide

デジタル大辞泉 「水酸化カルシウム」の意味・読み・例文・類語

すいさんか‐カルシウム〔スイサンクワ‐〕【水酸化カルシウム】

生石灰酸化カルシウム)に水を加えて得られる白色粉末。水にわずかに溶け、水溶液石灰水とよばれ、強アルカリ性。空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムになる。酸性土壌の中和剤、さらし粉原料モルタル材料などにする。消石灰水化石灰化学式Ca(OH2

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精選版 日本国語大辞典 「水酸化カルシウム」の意味・読み・例文・類語

すいさんか‐カルシウムスイサンクヮ‥【水酸化カルシウム】

  1. 〘 名詞 〙 ( カルシウムは[オランダ語] calcium ) カルシウムの水酸化物。化学式 Ca(OH)2 無色、六方晶系の板状結晶。ふつうは少量の水を含んだ白色粉末。水溶液石灰水は強アルカリ性。酸性土壌の中和剤、モルタル原料、さらし粉の製造、工業用の塩基、医薬品などに広く用いられる。消石灰。水化石灰。石灰(いしばい)

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改訂新版 世界大百科事典 「水酸化カルシウム」の意味・わかりやすい解説

水酸化カルシウム (すいさんかカルシウム)
calcium hydroxide

化学式Ca(OH)2。消石灰slaked limeともいう。酸化カルシウムCaO(生石灰)に水を作用させると,強く発熱してこの物質に変化する。この変化を生石灰の消和slakingと呼ぶ。

 CaO+H2O─→Ca(OH)2

白色の粉末で,比重2.24。水には比較的溶けにくいうえ,高温になるとさらに不溶になる。水100gへの溶解度は0.18g(0℃),0.13g(50℃),0.077g(100℃)。しかし溶けた部分は強いアルカリ性を示すので,最も安価なアルカリ源として工業上きわめて広く用いられる。この飽和水溶液を石灰水lime waterといい,また比較的少量の水と乳状に混合したものを石灰乳milk of limeと呼ぶ。水酸化カルシウムは容易に二酸化炭素と化合して水に不溶の炭酸カルシウムに変化するから,石灰水や石灰乳を空気中に放置しておくと炭酸カルシウムが沈殿してくる。

 Ca(OH)2+CO2─→CaCO3+H2O

建築材料の漆喰(しつくい)やモルタルは,この反応を利用したもの。水酸化カルシウムはまた,さらし粉の製造,酸性土壌の中和剤,消毒剤等にも用いられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「水酸化カルシウム」の意味・わかりやすい解説

水酸化カルシウム
すいさんかかるしうむ
calcium hydroxide

カルシウムの水酸化物。消石灰ともいう。酸化カルシウム(生石灰)に水または水蒸気を作用させると得られる(生石灰の消和)。急速に生成したものは白色粉末であるが、水中に放置すると六方晶系の板状晶に変わる。加熱すると580℃で水蒸気を出して分解し、酸化カルシウムに戻る。

  Ca(OH)2→CaO+H2O
 水にわずかしか溶けず、しかも温度が上昇すると溶解度はかえって減少する。水溶液は石灰水とよばれ、強いアルカリ性を示す。工業的には懸濁液の形で使われることが多く、これは石灰乳とよばれる。固体または溶液の状態で二酸化炭素を吸収し、水に不溶性の炭酸カルシウムに変わる。

  Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O
 また、塩素を吸収して次亜塩素酸カルシウム高度さらし粉の主成分)を生成する。

 水酸化カルシウムは安価な強アルカリ物質なので、酸性廃棄物の処理剤、酸性土壌の中和剤、消毒剤などとして用いられる。化学工業ではさらし粉の原料となるほか、反応用アルカリとして広く利用され、建築分野でもモルタル、漆食(しっくい)の材料として重要である。

[鳥居泰男]


水酸化カルシウム(データノート)
すいさんかかるしうむでーたのーと

水酸化カルシウム
  Ca(OH)2
 式量  74.1
 融点  ―
 沸点  ―
 比重  2.24
 結晶系 六方
 屈折率 (n) 1.574
 溶解度 0.126g/100g(水20℃)
     0.077g/100g(水100℃)

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化学辞典 第2版 「水酸化カルシウム」の解説

水酸化カルシウム
スイサンカカルシウム
calcium hydroxide

Ca(OH)2(74.09).消石灰ともいう.酸化カルシウムと水とを反応させるか,またはカルシウム塩の水溶液に水酸化アルカリを加えると得られる.無色の六方晶系結晶.密度2.24 g cm-3.580 ℃ で完全に分解し,水を失って酸化カルシウムとなる.水にはわずかに溶けて強い塩基性を示す.水100 g に対する溶解度は0.18 g(0 ℃),0.13 g(50 ℃),0.077 g(100 ℃).水溶液は石灰水とよばれる.アンモニウム塩水溶液に加えるとアンモニアを遊離し,酸に溶けてカルシウム塩をつくる.空気中では二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムを生じる.塩素を作用させるとさらし粉ができる.炭酸ナトリウムと反応して水酸化ナトリウムを生じる.安価な強塩基性物質として土壌の中和剤などに使用される.また,しっくい,モルタルの原料,防火塗料,さらし粉,パルプ,カルシウム塩の製造,皮なめし,有機合成,二酸化炭素の吸収剤,食品添加剤,凝固剤,消毒剤,医薬品,化粧品などに用いられる.[CAS 1305-62-0]

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百科事典マイペディア 「水酸化カルシウム」の意味・わかりやすい解説

水酸化カルシウム【すいさんかカルシウム】

化学式はCa(OH)2。比重2.24。生石灰に水を作用させると得られる無色の粉末。消石灰とも。水にわずかに溶け,水溶液(石灰水)は強いアルカリ性を示す。さらし粉,モルタルなどの製造原料,腐食剤,酸性土の中和剤として利用。
→関連項目酸化カルシウム石灰石灰肥料

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水酸化カルシウム」の意味・わかりやすい解説

水酸化カルシウム
すいさんかカルシウム
calcium hydroxide

化学式 Ca(OH)2 。消石灰ともいう。酸化カルシウム (生石灰) CaO に水を作用させてつくる。無色結晶。 100℃で分解しはじめ,580℃以上で完全に酸化カルシウムになる。塩化アンモニウム水溶液に可溶,エチルアルコールに不溶である。二酸化炭素の吸収剤,モルタルやセメントの原料,殺虫剤や医薬品として用いられる。

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栄養・生化学辞典 「水酸化カルシウム」の解説

水酸化カルシウム

 Ca(OH)2 (mw74.09).消石灰ともいい,加工助剤,栄養強化剤として使われる食品添加物.

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