抽象概念に対するプラグマティズム、とくにデューイの考え方で、概念道具説または器具説と訳される。デューイによると、概念は、プラトンのイデア論で語られる超越的で永遠、不動の存在や、カントの範疇(はんちゅう)のように、主観の先験的な形式でなく、また、イギリス古典経験論のいうように、外界からの受動的観念やイメージおよびそれらのモザイク的な構成物でもない。それは、人間の環境への順応という実際の経験の過程で形成されて、実験的に対象に適用され、その成果の効用によって是非が判定されるべき道具、手段である。そこで概念は、観想の静止的対象でなく、実践的活動の過程で使用され、絶えず修正、廃棄、創造されるべき指針である。以上は、プラグマティズムの実験的経験主義の主張、理論と実践の連続的な把握、認識を生物体と環境との相関関係においてみる考え方などの伝統を概念に適用した結果である。
[杖下隆英]
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