インド帝国(読み)インドていこく(英語表記)Indian Empire

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

インド帝国
インドていこく
Indian Empire

イギリス政府が直接統治した時代 (1858~1947) の植民地インドの呼称。 1757年のプラッシーの戦いに勝ったイギリス東インド会社はベンガル州を会社領とし,それ以後各地を征服,19世紀なかばには全インドを支配下においた。この間の激しい収奪ときびしい弾圧に対するインド人の反感は 1857~59年のインド大反乱となって爆発。 58年イギリス政府は東インド会社を廃止して直接統治下におき,77年イギリス国王がインド皇帝を兼ね,インド帝国と称した。領内は直轄領と大小数百のインド藩王国とが入り交り,藩王国はイギリス人弁務官が実際上統治した。すなわち藩王が高額の年金と待遇を受けるだけのものから,実際に統治してイギリス人顧問の監視を受けるものにいたるまで種々の区別を設け,直轄領も従来の習慣に基づき,地方ごとに租税の額や徴収法を異にした。こうした分割統治によって反乱防止をはかった。しかし,本国への食糧や原料供給のための小麦,茶,砂糖,藍などの強制栽培,またこれらを運ぶための鉄道の敷設などがインド人の自治要求の自覚を高め,イギリス本国も 20世紀に入るとたびたび統治法を改めることによって少しずつ自治を認めざるをえなくなった。第2次世界大戦後の 1947年に独立を認め,インド帝国を廃止した。

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百科事典マイペディアの解説

インド帝国【インドていこく】

英国が直接支配した時期のインドの呼称。1877年1月1日から英女王が〈インド女帝〉を称し,この時からインド連邦およびパキスタンの独立(1947年)に至る期間にあたる。英領インドともいうが,ビルマ(現ミャンマー)がインドの1州とされていた時期もあるので,インド帝国と呼ぶほうが正しい。18世紀後半以降,イギリス東インド会社はインド各地にその勢力を拡大し,マイソール戦争,マラーター戦争,シク戦争などを通じてインドの重要拠点の占領支配体制を固めた。反面,こうした英国の侵略に対するインド人の不満も高まり,1857年にはインド大反乱が起こり,そのため英本国は反乱終結後,インドの支配権を東インド会社からインド大臣へと移し,直接的な植民地支配に乗り出した。インドの旧支配層である封建領主を懐柔し,村落共同体による自治制度やカースト制度を温存しつつ,巧妙な分割支配を行った。経済面でもその植民地化が進められた結果,インドは〈イギリス王冠に輝く最大の宝石〉といわれるほどの利益を生んだ。しかし民族資本の成長とともにインド人の独立運動も激化し,第2次大戦に際しては英政府もインドの独立を約束せざるを得なくなる。そして戦後の1947年8月15日にはインド連邦とパキスタンの2自治領が成立し,インド帝国はその終りを告げた。
→関連項目インドシナインド統治法南アジア

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世界大百科事典 第2版の解説

インドていこく【インド帝国 Indian Empire】

イギリスがインドを直接支配した期間のインドの呼称。インドがイギリス王領に移管されてしばらくした1877年から,イギリス女王ビクトリアは〈インド女帝Empress of India〉の称号を合わせ持つことになり,その後のイギリス国王も代々インド皇帝と名のった。帝国の中にもう一つ帝国ができたことになる。その後イギリスの領土拡張の時代になったが,インドはイギリス帝国の中で常に一つの独自な構成部分とみなされ,自治領や他の植民地とは区別されていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

インド帝国
いんどていこく

イギリスの植民地であったインドの独立までの一呼称。1876年の王位称号法により、イギリス国王(当時はビクトリア女王)は翌年からインド皇帝を名のるようになり、ここにインド帝国が成立したことになるが、これは統治組織の実質的改編を伴うものではなかった。インド皇帝は、帝国への功績ありと認めたインド人にさまざまの名誉称号やイギリスの位階を賜与して彼らの忠誠心を鼓舞した。1877年、1903年、1911年にデリーで開かれたダルバールDelhi durbar(接見式)においては、皇帝の即位を慶祝し、インド人の叙勲が大規模に行われた。これは優れて帝国的な行事であった。[高畠 稔]

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