オホーツク海(読み)オホーツクカイ

デジタル大辞泉 「オホーツク海」の意味・読み・例文・類語

オホーツク‐かい【オホーツク海】

アジア大陸北東部・カムチャツカ半島千島(クリル)列島北海道樺太からふとサハリン)に囲まれる海。太平洋縁海ニシン・サケ・マス・カニ・コンブなどの好漁場。冬季には結氷する。

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精選版 日本国語大辞典 「オホーツク海」の意味・読み・例文・類語

オホーツク‐かい【オホーツク海】

  1. 太平洋北西部、シベリア、カムチャツカ半島、樺太(サハリン)、千島列島および北海道に囲まれた海。ニシン、サケ、マス、カニなどの漁場。冬季は結氷する。

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日本歴史地名大系 「オホーツク海」の解説

オホーツク海
おほーつくかい

シベリア東部、カムチャツカ半島、千島列島、北海道、サハリン(樺太)島によって囲まれた面積およそ一五二万八〇〇〇平方キロ、平均水深八三〇メートルの北太平洋の縁海。小規模な内湾を除けば結氷する海としては南限に位置し、漁業や流氷の到来を通じてわが国ともかかわりの深い海である。北部には面積の四〇パーセントを占める大陸棚が発達しているが、南部には千島列島沿いに水深三〇〇〇メートルを超す千島海盆が広がっている。オホーツク海という名称はシベリア大陸沿岸のオホーツク市郊外を流れるオホタという川名に由来する。すなわちロシアのコサックが一六三九年(寛永一六年)にこの海に到達した際、オホタ川の岸に砦を築き、この地をロシア名でオホーツクとよんで海獣猟や東方探検の基地としたことに始まる。オホーツク海とは当初オホーツク周辺の限られた海面をさし、カムチャツカ半島西岸から千島列島北方を含む広い海域はカムチャツカ海とよばれていたが(エゾとカムチャツカ図 Carte de L'lsle de lesso et des Environs:Phillipp Buache,1753、その後カムチャツカ半島やベーリング海付近の地理が明らかになるにつれ、現在のオホーツク海全域に対して用いられるようになった。

オホーツク海には反時計回りの微弱な還流があると考えられているが、詳しいことはわかっていない。西側にはサハリン東岸を南流し、知床しれとこ半島に至る海流(東樺太海流)が確認されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「オホーツク海」の意味・わかりやすい解説

オホーツク海 (オホーツクかい)
Okhotskoe more

第2次大戦前の日本ではオコック海とも呼ばれた。カムチャツカ半島と千島列島によって太平洋と,サハリン(樺太)と北海道によって日本海と区切られる海域で,北太平洋の縁海の一つ。面積160万3000km2。南部には最大水深3521mの千島海盆があり,これより1000m以深の海域が中央部を北に広がる。一方,北部とサハリン東側は広い大陸棚となり,総面積の約半分を占める。

 気候は冷涼なモンスーン気候で,夏には湿潤な南寄りの風が卓越,濃霧が発生しやすい。冬は発達した温帯低気圧の後面に吹く北西風が強く,寒気の流入に伴って暴風雪になることが多い。オホーツク海上での月平均気温は,1月が-25~-15℃,8月10~18℃,年間降水量は300~800mm。干満差は,北東端のペンジンスキー入江で最も大きく13mに達し,サハリン南東岸で最も小さい(0.8m)。千島列島の各島間の海峡の水深は2318mの北ウルップ水道が最も深い。太平洋の水は北部の海峡から入り,一部はオホーツク海を左回りにめぐって,中央部の海峡から流出する。大陸棚上の30m以浅の表層塩分は,夏季に河川水や流氷の融水で薄められ,32g/kg以下に低下する。上・下層間の大きな塩分差のため,冬季の対流混合は浅くにとどまり,海氷がつくられる。結氷は北西部で11月に始まり,2月に流氷域は最大となって千島列島沿いを除く大半を占め,一部は北海道に達し,太平洋岸の十勝沖に流出する。流氷はほぼ5月には消滅するが,北西部では6月まで残る。流氷には植物プランクトンによる着色がしばしば見られる。結氷海域の下層には塩分33.8g/kg,-1.7℃程度の重い水が堆積し,海盆部の中層へ広がる。夏季に海面水温は10~15℃に上昇するが,30~50m以深は-1.7~+1℃以下に保たれる。1000m深付近以下の層は年間を通し,太平洋から流入する2.5℃前後の水で満たされている。オホーツク海でつくられたこの寒冷な水は,千島列島の海峡で太平洋の水と混合し,親潮となって北海道,東北沿岸に至る。最大水深53mの宗谷海峡からは対馬暖流の末流にあたる高塩分な宗谷暖流が岸沿いに流入し,オホーツク冷水との境に表層冷水帯をつくり,千島列島南部の海峡から太平洋に流出する。流量は夏・秋に増大するが,冬季も流氷下を流れる。

 大陸棚上の水産資源は,サケ,マス,ニシン,タラ,カニ等豊富な漁業資源のほか,哺乳類ではクジラオットセイアザラシなどがみられる。日本では大正~昭和初年にかけてソ連領の沿海と海岸で漁場と水産加工場を経営したことがあるが,現在日本漁船の操業は規制されている。北海道沿岸ではサケ増殖,ホタテ増養殖などの栽培漁業の効果が大であるが,タラ,スケトウダラ,カレイ,カニ,ツブ,ニシン,サンマなど漁船漁業による漁獲も大きい。
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百科事典マイペディア 「オホーツク海」の意味・わかりやすい解説

オホーツク海【オホーツクかい】

カムチャツカ半島の西側にある太平洋の支海。英語でSea of Okhotsk。10月から6月ほとんど凍結。夏季の水温8〜12℃。世界三大漁場の一つで,サケ,マス,ニシン,カニなどの漁業が行われる。最大水深3372m。面積139万2000km2
→関連項目メタン・ハイドレート

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